■この映画のご紹介
本作は、アメリカの人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の有名スケッチから生まれたSFコメディ映画である。惑星レミュラックから偵察任務で地球にやってきた異星人、ベルダーとプライマート。彼らの特徴は、その名の通り円錐形(コーン)の頭である。しかし、彼らの宇宙船はニュージャージー沖に不時着し、地球での生活を余儀なくされる。言葉も文化も違う地球で、彼らは「フランスからの移民」と偽り、人間社会に溶け込もうと奮闘する。ロボットのような話し方、異常な食欲(「大量消費」がモットー)、そして時折見せる超人的な能力。周囲の人間は彼らの奇妙な外見や行動に戸惑いながらも、なぜか受け入れてしまう。移民局の執拗な追跡をかわしながら、郊外で家庭を築き、娘コニーを育てるコーンヘッド一家の姿を、ユーモアと風刺たっぷりに描いたカルト的な人気を誇る一作である。
■この映画で使われている会話表現とスラング
It’s outta here!
ホームランだ!/やったぞ!
It’s outta here! は、直訳すると「それはここから出て行った」となるが、主に野球の試合でホームランが出たときに使われる決まり文句である。実況アナウンサーが興奮気味に叫ぶフレーズとして定着しており、「(ボールが)場外へ消えたぞ!」というニュアンスを持つ。野球の文脈を離れて、何かが大成功したときや、困難な状況から抜け出したときに「やったぞ!」「最高だ!」といった感嘆詞として使われることもある。非常に口語的で、エネルギッシュな表現である。
日常会話では、例えばプレゼンテーションが大成功に終わったときに、同僚が That presentation was outta here!(あのプレゼンは最高だったな!)と言ったり、難しい問題を解き終えたときに I finally solved it! It’s outta here!(ついに解けた!やったぞ!)のように使うことができる。
『コーンヘッズ』では、映画の冒頭、空軍の管制官が居眠りしながら見ていた野球中継で、アナウンサーがホームランの瞬間に It’s outta here! と叫ぶ。この声が、遠い宇宙から地球の大気圏に突入してくるコーンヘッズの宇宙船のイメージと重なり、物語の始まりを告げるユニークな演出となっている。平凡な地球の日常(野球)と、非日常的な宇宙からの来訪者という対比を、この一言が効果的に示している。
bogey
未確認飛行物体/敵機
bogey は、軍事、特に空軍の用語で「未確認の航空機」を指すスラングである。敵か味方か識別できない飛行物体が現れた際に使われる。もともとはゴルフ用語で規定打数より1打多く打つことを指すが、軍事用語としては全く異なる意味で使われる。映画やゲーム、特に航空戦をテーマにした作品では頻繁に登場する言葉で、「敵機」というニュアンスで使われることも多い。例えば、レーダーに反応があった際に Bogey at three o’clock!(3時の方向に未確認機!)のように報告する。
この言葉は比喩的に、ビジネスや日常生活で「正体不明の競争相手」や「予期せぬ問題」を指して使われることもある。We’ve got a bogey in the market; a new startup is eating into our sales.(市場に正体不明の競合が現れた。新しいスタートアップが我々の売上を食っている)といった使い方ができる。
『コーンヘッズ』では、管制塔のレーダーがコーンヘッズの宇宙船を捉えた際、複数の管制官の間で交わされる無線で “We have a confirmed inbound bogey at Angels eleven thousand cleaning Mach Six.”(高度1万1000フィート、マッハ6で接近中の未確認飛行物体を確認)というセリフが登場する。この bogey という専門用語が、事態の深刻さと軍の緊張感を一気に高めている。地球人にとっては正体不明の脅威である「bogey」が、実はコメディの主人公であるコーンヘッズ一家であるというギャップが、この映画の面白さの源泉となっている。
scramble
緊急発進する
scramble は動詞として「ごちゃ混ぜにする」(スクランブルエッグなど)や「よじ登る」といった意味で広く使われるが、軍事用語としては戦闘機などが「緊急発進する」ことを指す。敵機や未確認飛行物体の接近など、緊急事態に対応するために、待機している戦闘機が即座に離陸する命令や行動を指す。この命令は “Scramble!” の一言で発せられることが多く、非常に緊迫した状況を示す言葉である。
この表現は軍事以外でも、急いで何かを準備したり、人々が大慌てで行動したりする様子を指して使われることがある。When the fire alarm went off, everyone scrambled for the exits.(火災報知器が鳴ると、全員が出口に殺到した)や We had to scramble to get the report finished by the deadline.(締め切りまでに報告書を仕上げるために、大急ぎでやらなければならなかった)のように使う。
『コーンヘッズ』では、レーダーがベルダーたちの宇宙船を捉えた後、管制塔から “Scramble and pursue undeclared intruder.”(緊急発進し、未申告の侵入者を追跡せよ)という命令が発せられる。scramble という言葉が使われることで、アメリカ空軍がこの事態をいかに深刻に受け止めているかが伝わってくる。地球側の大真面目な対応と、宇宙船の中で夫婦喧嘩をしているコーンヘッズの呑気な様子の対比が、コミカルな状況を生み出している。
get a lock on
~をロックオンする/~を捕捉する
get a lock on は、軍事用語で、レーダーや照準器で目標を「ロックオンする」「完全に捕捉する」ことを意味する。ミサイルなどを発射する前に、目標を確実に追尾できる状態にすることを指す。テクノロジーを駆使した現代の戦闘シーンを描いた映画やゲームでは欠かせない表現である。
このフレーズは比喩的に、ある問題の核心を掴んだり、特定の目標に集中したり、誰かの考えを完全に理解したりする際にも使われる。I think I’ve finally got a lock on this complex problem.(この複雑な問題の核心をついに掴んだと思う)や It’s hard to get a lock on what he really wants.(彼が本当に何を望んでいるのかを把握するのは難しい)のように、より広い文脈で応用できる。
『コ-ンヘッズ』では、緊急発進したイリノイ州兵のF-16戦闘機のパイロットが、ベルダーたちの宇宙船を追跡しながら “OK, I’ve got a lock on, lock on, lock on, request permission to fire.”(よし、ロックオン、ロックオン、ロックオンした。発砲許可を求める)と報告する。 “lock on” を3回繰り返すことで、パイロットの興奮と目標を捉えた確信が強調されている。しかし、その直後に “wow, look at that thing.”(うわ、なんだあれは)と続くことで、彼が追っている対象が尋常ではないことを示唆し、コメディ的な緊張緩和を生んでいる。
at your discretion
あなたの裁量で/あなたの判断に任せて
at your discretion は「あなたの裁量で」「あなたの判断で」という意味のフォーマルな表現である。discretion は「裁量」「思慮分別」「自由判断」といった意味の名詞で、このフレーズは相手に決定権や行動の自由を委ねる際に使われる。ビジネスや公的な文書、あるいは上司が部下に指示を出す際など、改まった場面で用いられることが多い。
例えば、経費の使用について上司が You can book a hotel at your discretion, but try to be reasonable.(ホテルは君の判断で予約していいが、常識的な範囲で頼むよ)と言ったり、イベントの進行について We’ll leave the timing of the announcement at your discretion.(発表のタイミングはあなたの裁量にお任せします)のように使うことができる。
『コーンヘッズ』の劇中では、F-16のパイロットが宇宙船への発砲許可を求めたのに対し、管制官が “Pursuit leader you are authorized to fire at your discretion.”(追跡部隊長、君の裁量で発砲することを許可する)と応答する。これは軍の正式な命令伝達の形式であり、現場のパイロットに最終的な判断を委ねるという重い意味を持つ。このフォーマルで厳格なやり取りが、直後に起こる宇宙船の爆発とコーンヘッズたちの滑稽なパニックとのギャップを際立たせ、コメディ効果を高めている。
cash or charge?
お支払いは現金ですか、カードですか?
cash or charge? は、店で支払い方法を尋ねる際の定番のフレーズである。cash は「現金」、charge は「(クレジットカードなどに)請求する」という意味で、charge card(クレジットカード)を指している。現代では “Cash or credit?” や “Will that be cash or card?” と言われることの方が一般的だが、意味は同じである。海外旅行での買い物や食事の際に必ず耳にする表現の一つであり、英語学習者にとっては必須のフレーズと言える。
この質問に対しては、Cash, please.(現金でお願いします)や I’ll put it on my card.(カードで払います)のように答える。非常にシンプルだが、実践的な英会話の基本である。
『コーンヘッズ』では、地球に不時着したベルダーとプライマートが、初めてモーテルに宿を求める場面で、受付の店員がベルダーに Will that be cash or charge? と尋ねる。これは地球の経済システムにおけるごく当たり前の質問だが、貨幣経済の概念が異なる(かもしれない)宇宙人にとっては戸惑う場面のはずである。しかし、ベルダーは動じない。この直後、プライマートが外の自動販売機から超能力で大量のコインを出すシーンにつながり、彼らが地球の「現金」をどうやって手に入れたのかが示される。日常的なフレーズが、異文化(異星文明)との遭遇という非日常的な状況で使われることで、笑いを生んでいる。
last call
ラストオーダー/最終案内
last call は、バーやパブで閉店時間が近づいた際に、客に対して「最後の注文ですよ」と知らせるための合図である。バーテンダーが “Last call for alcohol!”(アルコールのラストオーダーですよ!)と叫んだり、店内のベルを鳴らしたりするのが一般的だ。この合図が出たら、客は急いで最後のドリンクを注文するか、飲み終えて店を出る準備を始める。また、空港で飛行機の最終搭乗案内を指して使われることもある。
日常会話では、何かを締め切る前の最後のチャンスを指して比喩的に使われることもある。This is the last call to sign up for the trip.(この旅行に申し込む最後のチャンスですよ)のように用いる。
『コーンヘッズ』では、ベルダーとプライマートがバーで大量のお酒を飲んでいる場面で、バーテンダーが Alright folks, last call と告げる。この時、時計は午前3時54分を指しており、彼らがいかに長時間、そして大量に飲み続けていたかがわかる。この last call は、彼らの地球での長い夜が終わりに近づいていることを示唆すると同時に、彼らが地球の文化(この場合はバーの閉店ルール)に直面していることを表している。この後、酔っ払ったベルダーが地球征服のスピーチをぶつなど、コメディシーンが続くきっかけとなる一言だ。
gotta split
もう行かなくちゃ/失礼するよ
gotta split は “have got to split” の非常にカジュアルな短縮形で、「もう行かなければならない」「ここを去らなければならない」という意味のスラングである。split は動詞で「裂く」「分割する」という意味が基本だが、スラングとしては「去る」「ずらかる」という意味で使われる。友人同士の会話や、インフォーマルな集まりから退席する際に頻繁に使われる表現で、”I have to go” や “I’ve got to leave” よりもくだけた響きを持つ。
例えば、パーティーの途中で Hey guys, I gotta split. I have to get up early tomorrow.(みんな、もう行かないと。明日朝早いんだ)と言ったり、友人との会話を切り上げる際に Sorry, gotta split. Talk to you later.(ごめん、もう行くね。また後で話そう)のように使う。
『コーンヘッズ』では、バーでベルダーと意気投合した飲み仲間(Barfly)が、別れ際に Listen, gotta split Beldar, but listen I hope you get your starcruiser back…(なあ、ベルダー、もう行かないと。でもな、お前の宇宙船が戻ってくるといいな…)と言う。この gotta split というくだけた表現が、彼らがすっかり打ち解けた友人同士であるかのような雰囲気を作り出している。酔った勢いとはいえ、地球人が宇宙人の地球征服計画を応援するという奇妙でコミカルな状況が、この親しげなスラングによって一層引き立てられている。
too good to be true
話がうますぎる/信じられないほど良い
too good to be true は、「(話が)信じられないほど良い」「うますぎる」という意味の非常に一般的なイディオムである。何かが非常に魅力的で、かえって疑わしく感じられるような状況で使われる。詐欺的な儲け話や、あまりに好条件のオファーなどに対して、「何か裏があるのではないか」という警戒心を示す際に頻繁に用いられる。
例えば、A job offer with a high salary and almost no work? It sounds too good to be true.(給料が高くて仕事がほとんどない求人?話がうますぎるよ)や I won a free vacation, but I think it’s too good to be true.(無料の休暇が当たったけど、うますぎる話だと思う)のように使う。
『コーンヘッズ』では、ベルダーが家電修理店で働き始めた際、その超人的な仕事ぶりに感心した雇い主のオットーが、彼の素性を知らないまま、その有能さを褒め称える。しかし、後にベルダーが社会保障番号を持っていないと知り、彼が「不法滞在者」であると告白したとき、オットーは Oh man, I knew you were too good to be true.(ああ、やっぱりお前は話がうますぎると思ったんだ)と言う。このセリフは、オットーが「こんなに完璧な従業員がいるなんて信じられない、何か問題があるはずだ」と感じていたことを示している。視聴者はベルダーが本当に「信じられない」存在(=宇宙人)であることを知っているため、このイディオムが持つ二重の意味合いが、このシーンの面白さを深めている。
here’s the deal
話はこうだ/取引はこうだ/要するにだね
here’s the deal は、交渉や提案、あるいは複雑な状況を簡潔に説明し始める際に使われる口語表現である。「さて、本題に入ろう」「要点を言うとこうだ」「取引内容はこうだ」といったニュアンスで、会話の主導権を握って話を切り出すときに非常に便利だ。deal は「取引」や「契約」を意味するが、このフレーズではもっと広く「状況」や「話の内容」全般を指す。
ビジネスの交渉で OK, here’s the deal. We’ll offer you a 10% discount if you sign the contract today.(さて、話はこうです。今日契約していただけるなら10%割引します)と言ったり、友人との計画を立てる際に Alright, here’s the deal: you get the tickets, and I’ll drive.(よし、こうしよう。君がチケットを取って、僕が運転する)のように使う。
『コーンヘッズ』では、不法滞在者であるベルダーとプライマートに偽の身分証明書を用意するため、雇い主のオットーが怪しげな男(Suit)に引き合わせる場面がある。この男は書類を渡しながら、OK, here’s the deal… Your name is Donny De Cicco…(よし、話はこうだ。お前の名前はドニー・デ・チッコ…)と、彼らの新しいプロフィールを一方的に説明し始める。here’s the deal という切り出し方が、この男のビジネスライクで手慣れた様子をよく表している。ここから、彼らが地球人として生きるための偽りの人生設定が矢継ぎ早に語られ、コーンヘッズ一家の地球での新たな章が始まる。
illegal alien
不法滞在の外国人/文字通りの「違法な宇宙人」
illegal alien は、二つの意味を持つ言葉である。一つは公的な意味での「不法滞在の外国人」であり、法的な手続きを経ずに国に滞在している人物を指す。もう一つは、SFの世界で使われる文字通りの意味で、alien が「地球外生命体、宇宙人」を指すことから、「違法に(地球に)いる宇宙人」と解釈できる。近年、前者の意味で使うことは政治的に配慮を欠くとされ、”undocumented immigrant”(書類を持たない移民)といった表現が推奨される傾向にある。
このダブルミーニング(二重の意味)は、ユーモアや風刺として非常に効果的である。A new movie about an illegal alien trying to get a green card – but he’s actually from Mars.(グリーンカードを取ろうとする不法滞在の宇宙人の新しい映画。でも彼は本当に火星から来たんだ)のように、意図的に使われることがある。
『コーンヘッズ』において、この言葉は作品のテーマを象徴する重要なジョークとして機能している。社会保障番号がないことを雇い主のオットーに問いただされたベルダーは、恥ずかしそうに I am an illegal alien. と告白する。オットーはこれを「不法入国者」と解釈するが、視聴者はベルダーが文字通り「違法な宇宙人」であることを知っている。この認識のズレが笑いを生む。ベルダーが出身地を正直に The planet Remulak.(レミュラック星)と答えても、オットーがそれを真に受けず “No man, I don’t want to know about this shit.”(いやいや、そんな話は聞きたくない)と話を逸らす場面は、地球人の固定観念とコーンヘッズの異質さを見事に描いている。
maintain low tones with me
私に対して声を荒らげるな/静かに話せ
maintain low tones with me は、直訳すると「私に対して低いトーンを維持しなさい」となる。これはコーンヘッズが使う独特の命令口調で、「声を荒らげるな」「落ち着いて話せ」という意味合いを持つ。通常の英語では “Keep your voice down” や “Don’t raise your voice at me” と言うのが一般的だが、コーンヘッズはロボットのように論理的で感情を排した言葉遣いを好むため、”maintain”(維持する)や “low tones”(低い音調)といった分析的な単語を選ぶ。この非人間的な響きが、彼らが異星人であることを強調し、コメディ効果を生み出している。
このフレーズは一般的ではないため、日常会話で使うと少し奇妙に聞こえるかもしれないが、コーンヘッズの真似をして冗談で使うことはできる。例えば、友人が興奮して大声で話し始めたときに、真顔で Please, maintain low tones.(どうか、低いトーンを維持してください)と言えば、映画を知っている人なら笑ってくれるだろう。
『コーンヘッズ』では、娘のコニーがボーイフレンドのジャケットを着ていることについて、ベルダーが厳しく注意する場面でこのセリフが登場する。反抗的な態度をとるコニーに対して、ベルダーは Maintain low tones with me. Maintain low tones. と冷静に、しかし有無を言わせぬ口調で繰り返す。感情的に怒鳴るのではなく、あくまで「音調の維持」を要求するという、コーンヘッズらしい父親の威厳の示し方であり、彼らのキャラクターを象徴する名セリフの一つである。
blunt skull
(頭の尖っていない)普通の人間/鈍い頭蓋骨
blunt skull は、コーンヘッズが地球人(頭が円錐形でない人々)を指して使う、やや軽蔑的な呼び名である。blunt は「鈍い」「先端が丸い」という意味、skull は「頭蓋骨」を意味する。自分たちの尖った頭(コーン)こそが優れているという彼らの価値観が反映された言葉であり、地球人を「劣った種族」と見なしているニュアンスが含まれる。これは、特定の民族や人種に対する差別的な俗称(スラング)をパロディ化したものであり、異文化間の偏見や誤解をユーモラスに風刺している。
この言葉は『コーンヘッズ』独自のスラングなので、日常会話で使うことはない。しかし、作品のファン同士であれば通じるジョークとなるだろう。
映画の中では、ベルダーが娘のコニーと地球人のボーイフレンド、ロニーとの交際に反対する理由として、You don’t like him because he’s a blunt skull.(パパは彼が鈍い頭蓋骨だから嫌いなんでしょ)とコニーに指摘される場面がある。このセリフは、異文化(異星)間の恋愛における親の反対という、普遍的なテーマをコーンヘッズの世界観に置き換えて描いている。ベルダーはロニーの人間性を問題にしているのではなく、単に彼が「blunt skull」であるという事実を懸念しているのである。この奇妙だがどこか共感できる親子喧嘩は、この映画の魅力の一つである。
consumption of mass quantities
大量消費
consumption of mass quantities は、コーンヘッズ一家のモットーであり、彼らの異常な食欲と消費行動を象徴する言葉である。consumption は「消費」、mass は「大量の」、quantities は「量」を意味する。直訳すると「大量の量を消費すること」となり、やや冗長な響きがある。これもまた、彼らのロボット的で分析的な言語感覚を反映した表現である。普通の人間なら “eating a lot”(たくさん食べること)と言うところを、わざわざこのように科学用語のような表現を使うのがコーンヘッズ流である。
このフレーズは『サタデー・ナイト・ライブ』のオリジナルスケッチから使われている決め台詞であり、コーンヘッズのキャラクターを定義づける重要な要素となっている。彼らはビールを6本パックごと一気に飲み干し、スプレー式の芳香剤を口に吹きかけ、加工食品を包装紙ごと食べるなど、地球人から見れば常軌を逸した消費行動をとる。
『コーンヘッズ』の劇中では、ベルダーが昼食の時間になると Time for the midday consumption of mass quantities.(昼食の時間だ。大量消費の時間だ)と宣言する。食卓には包装されたままのアメリカンチーズやソーセージが山と積まれ、彼らが文字通り「大量消費」を実践する様子が描かれる。このフレーズは、彼らの異星人としての生態を描写するだけでなく、アメリカの大量消費社会そのものに対する風刺としても機能している。

こんにちは、ゆぶろぐです。
映画の英語は、学習教材と違って、学習者向けに手加減された英語ではありません。生の英語が飛び交っています。一見、難しいように聞こえますが、次第にストーリーの展開に心を奪われながら、英語とストーリーの両方の魔力に引きつけられていくのです。▶映画は、普段日常生活では接することのない、様々な場面に誘ってくれます。その中で交わされている英語には、学校で学ぶ英語と少しばかり違った、口語表現やスラングがあふれています。▶このサイトでは、その独特の口語表現やスラングを主に映画から探してきて、紹介しています。中には、危険なフレーズや下品な言い回しもあえて取り上げてみました。それらは、実際に使うとアブナイものも含まれていますから、それは「知っていく」程度にとどめておいてください。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。専門は英語教授法。英語学習や英語教育に関する論文、著書、記事多数。
