■この映画のご紹介
Table of Contents
−- ■この映画のご紹介
- ■この映画で使われている会話表現とスラング
- struck me to the ground
- catch a spark
- I ain't dead yet
- That's for damn sure
- No snap crackle or pop
- splitting hairs
- fried
- over covered, over-played
- packing heat
- cherubic look
- tousled hair
- Huck Finn cap
- confection
- track mud on somebody's carpet
- public famiousity
- pulverized
- Get dressed, get blessed, try to be a success
- bursting at the seams
- a fool's gold mouthpiece / a hollow horn
- He not busy being born is busy dying
- sunsets and seagulls
- an oil painting at the dentist's office
- Too pretty / maybe too pretty
- Fuck off and sing
1961年の冬、19歳のボブ・ディランはギターケース一つを手にニューヨークへやってくる。フォーク音楽の聖地グリニッジ・ヴィレッジに足を踏み入れた彼は、病床のウディ・ガスリーを訪ね、ピート・シーガーの目に留まり、瞬く間に時代の声として台頭していく。ジョーン・バエズとの複雑な関係、シルヴィとの別れ、そして1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで電気ギターを手に取るまでの軌跡を描いた伝記映画である。ジェームズ・マンゴールド監督、ティモシー・シャラメ主演。本作は、一人の若者が「完全なる無名」から「時代の象徴」へと変貌する過程を、フォーク音楽というアメリカの魂を通して描いた作品だ。
■この映画で使われている会話表現とスラング
struck me to the ground
地に倒れるほど衝撃を受けた/心をえぐられた
strike は「打つ」「打撃を与える」という意味の動詞だが、感情的な衝撃を表現する際にも広く使われる。strike someone to the ground は「誰かを地面に叩きつける」という物理的な意味から転じて、「心を深くえぐる」「立っていられないほどの衝撃を与える」という強い感情的反応を表す表現だ。受動態で it struck me to the ground とすることで、「圧倒された」「完全にノックアウトされた」というニュアンスになる。 同じような感情を表す表現には、it blew me away(衝撃を受けた、感動した)、it knocked me off my feet(足がすくむほど感動した)、it moved me deeply(深く心を動かされた)などがある。音楽や芸術、文学との出会いを語る文脈でよく使われる表現だ。 I listened to her sing for the first time and it just struck me to the ground.(彼女が初めて歌うのを聴いたとき、私は完全に打ちのめされた)のように使える。The news struck me to the ground.(その知らせは私を打ちのめした)のように、悲しいニュースへの反応としても使える。 『コンプリート・アンノウン』では、グリニッジ・ヴィレッジのバーでボブがピート・シーガーにウディ・ガスリーの音楽との出会いを語る場面でこの表現が登場する。They had a few of Woody’s records. Folkways Records. Yours, Leadbelly. I listened to ‘em and well, they struck me to the ground.(ウディのレコードが何枚かあったんだ。フォークウェイズのやつ。ピート、あなたのも、レッドベリーのも。聴いてみたら、もう地に倒れるような衝撃だった)という台詞だ。 音楽との運命的な出会いを表現するのに、これほど生々しい言葉を使うのがディランらしい。単に「感動した」と言うのではなく、身体的な衝撃として音楽体験を描写するこの表現は、彼が後に生み出す詩的な歌詞の感性とも通じるものがある。英語学習者にとっては、感情を物理的な動作として表現するこのメタファーの構造を理解することが重要だ。
catch a spark
ひらめきをもらう/刺激を受ける
spark は「火花」という意味だが、比喩的に「ひらめき」「インスピレーション」「刺激」を指す。catch a spark は「火花をキャッチする」、つまり「誰かから刺激やインスピレーションをもらう」という意味になる。創造的な活動や芸術の文脈で特によく使われる表現だ。 類似表現には、get inspired(インスピレーションを得る)、ignite creativity(創造性に火をつける)、find inspiration(インスピレーションを見つける)などがある。spark は動詞としても使われ、That conversation sparked a new idea.(その会話が新しいアイデアに火をつけた)のように表現できる。 Talking to her always helps me catch a spark.(彼女と話すといつもひらめきが生まれる)や I’m hoping this workshop will help me catch a spark.(このワークショップでインスピレーションが得られればと思っている)のように日常会話で使える。 『コンプリート・アンノウン』では、ボブがグリニッジ・ヴィレッジに来た理由を問われ、I wanted to meet him. Maybe catch a spark.(会いに来たかったんだ。ひらめきをもらえるかもしれないと思って)と答える場面で登場する。若き日のディランが病床のウディ・ガスリーのもとを訪れた動機を語るこの台詞は、彼の野心と謙虚さが絶妙に混ざり合っている。「火花をもらう」という表現は、師弟関係や芸術的な継承を語る際に非常に詩的な表現となる。音楽の世界では、先人から学びながら自分の表現を見つけていく過程をこのように表現することが多い。英語学習者は、spark という単語が持つ「創造性の火」というメタファーを覚えておくと表現の幅が広がるだろう。
