That’s the best I can do.とは?
英語のビジネスシーンや日常会話、映画やドラマの交渉場面などでよく耳にするフレーズがあります。That’s the best I can do.もそのひとつです。日本語に訳せば、「これが私にできる精一杯です」「これ以上はできません」「これが最善の条件です」といったニュアンスになります。
シンプルに言えば、「自分が提示できる限界はここだ」という意思表示のフレーズです。値段交渉、条件交渉、頼みごとへの対応など、さまざまな場面で使われます。相手の要求に対して完全にはYESと言えないが、できる範囲での最大限を示すときに使う表現で、断りながらも誠意を見せるという絶妙なバランスを持っています。
ネイティブスピーカーが交渉の場で自然に口にする表現であり、まさに実践的な「生きた英語」の代表格といえます。この記事では、この表現の構造から使われる場面、会話例、注意点まで詳しく解説していきます。
表現の構造:文法的に分解してみよう
まず、このフレーズを文法的に分解して理解を深めましょう。
That’s the best I can do. を構造的に見ると、That is the best (that) I can do. という文であることがわかります。ここでの the best は「最善のもの・最大限のもの」を表す名詞的用法で、その後に関係代名詞 that が省略された形で I can do という節が続いています。つまり、「私ができる最善のこと、それがこれだ」という意味になります。
この構造は英語においてよく見られるパターンで、It’s the best movie I’ve ever seen.(これは私が今まで見た中で最高の映画だ)や That’s the most I can offer.(それが私が提示できる最大限だ)なども同様の仕組みを持っています。シンプルな構造ながら、「限界・最大値」を明確に示す力強い表現です。
どんな場面で使われるのか?
That’s the best I can do. が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- 値段交渉の場で、これ以上の値引きができないと伝えるとき
- 仕事の納期や条件について、これ以上の譲歩が難しいと示すとき
- 友人や家族から何かを頼まれたが、全面的には応じられないとき
- サービス業で、顧客の要求に対して提供できる最大限を提示するとき
- 何らかの助けを求められ、できる範囲内での最善を提供するとき
共通しているのは、「相手の希望に完全には応えられないが、自分の限界の中で最大限を尽くした」という姿勢を示す点です。単純な拒絶とは異なり、誠実さと現実的な限界の両方を伝える表現です。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:値段交渉
A: Can you lower the price a bit more? Maybe down to $80? B: I'm sorry, but $90 is the best I can do. I'm already giving you a discount. A: もう少し値段を下げてもらえませんか?80ドルくらいに。 B: 申し訳ないですが、90ドルが精一杯です。すでに割引しているんですよ。
例2:納期の交渉
A: Is there any way you can finish the report by Wednesday? B: Thursday morning is the best I can do. I have two other deadlines this week. A: 水曜日までにレポートを仕上げてもらうことはできますか? B: 木曜日の朝が精一杯です。今週は他に締め切りが二つあるので。
例3:友人への対応
A: Could you help me move on Saturday? It would take the whole day. B: I can come in the morning, but that's the best I can do. I have plans in the afternoon. A: 土曜日に引っ越しを手伝ってもらえる?一日かかると思うんだけど。 B: 午前中なら行けるけど、それが精一杯かな。午後は予定があって。
例4:サービス対応
A: I really need the room upgraded to a suite. B: I can offer you a deluxe room at the same price. That's the best I can do tonight. A: どうしてもスイートにアップグレードしてほしいのですが。 B: 同じ料金でデラックスルームをご提供できます。今夜はそれが精一杯です。
ニュアンスと使い方の注意点
① 断りと誠意を同時に示せる表現
That’s the best I can do. の大きな特徴は、単なる拒絶ではなく、努力や誠意を含んだ返答である点です。No, I can’t do that. と言うよもはるかに柔らかく、相手への配慮が感じられます。交渉や依頼の場面では、この「断りながらも誠実さを示す」バランスが非常に重要です。
② ソフトな言い換えも覚えておこう
状況に応じて、以下のような類似表現も使いましょう。
- That’s the most I can offer.(それが私が提示できる最大限です)― 条件や金額の交渉に特化した表現
- I’m afraid that’s all I can do.(残念ながら、それが私にできることのすべてです)― より丁寧で謝罪のニュアンスを含む
- I’ve done everything I can.(できることはすべてやりました)― 努力の結果として限界に達したことを強調する表現
- That’s as far as I can go.(そこまでが私の限界です)― 特に価格や条件の交渉でよく使われる
③ テイク・イット・オア・リーブ・イットの姿勢として使われることも
交渉の文脈では、That’s the best I can do. は「これが最終提示であり、それ以上の交渉は難しい」というサインとして受け取られることがあります。特にビジネス交渉では、このフレーズが出た後に相手がさらに条件を押してくることは少なく、一種の交渉終結の合図として機能することもあります。
④ 前置きを加えることでより丁寧になる
I’m sorry, but that’s the best I can do. や Unfortunately, that’s the best I can do. のように、謝罪や遺憾の一言を前置きすることで、より丁寧で相手への配慮が感じられる表現になります。ビジネスや接客の場面では、この一言を添える習慣をつけると印象が良くなります。
まとめ
That’s the best I can do. は、自分の限界を誠実に伝えながら、最大限の努力や誠意も同時に示せる、非常に実用的なフレーズです。交渉・依頼・サービス対応など、幅広い場面で活躍します。
ソフトな言い換えや前置き表現と組み合わせることで、場面やTPOに合わせた柔軟な使い方ができます。ぜひ映画やドラマの交渉シーンでこのフレーズを探しながら、実際の使われ方を体感してみてください。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。
