■この映画のご紹介
1972年、コロラドスプリングス。コロラドスプリングス市警初の黒人刑事となったロン・ストールワースは、地元紙の分類広告欄でKKK(クー・クラックス・クラン)の勧誘広告を発見し、衝動的に電話をかける。本名を名乗ってしまったものの、白人のふりをして電話口でクランと接触することに成功。現場での「白いロン・ストールワース」役にはユダヤ系刑事チャックを起用し、二人で一人の「ロン・ストールワース」を演じながら潜入捜査を展開する。やがてKKK全国本部のデイヴィッド・デュークとも電話で親交を深め、クランの会員証まで手に入れてしまうという、実話に基づく前代未聞の捜査が描かれる。スパイク・リー監督がロン・ストールワースの回顧録を原作に映画化した本作は、2018年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。
■この映画で使われている会話表現とスラング
Get In where I can Fit In.
自分が入り込める隙間に入っていく
Get in where you fit in. は「自分が活躍できる場所に飛び込め」「自分が溶け込める場所に入り込め」という意味のアメリカのスラング的フレーズである。特に黒人コミュニティで広く使われ、限られた機会や制限のある環境の中で、自分にできる形でうまく立ち回るという意味合いが強い。Tupacなどのラッパーも楽曲の中でこの表現を使っており、ストリートカルチャーに根ざした言い回しだ。 ビジネスやキャリアの文脈でも使われる。I didn’t have the exact qualifications, but I figured I’d get in where I fit in and learn on the job.(資格は完璧じゃなかったけど、入り込める場所に入って仕事しながら覚えようと思った)のように使う。チャンスを待つよりも積極的に行動するというニュアンスが含まれており、自分の強みや立ち位置を活かして状況に適応することを勧める言葉でもある。 『ブラック・クランズマン』では、ロンが上司に潜入捜査への配属を直訴する場面で、Well, I’m young. I think there’s a niche for me. Get In where I can Fit In.(若いですし、自分が入り込める隙間があると思うんです。入り込める場所に入り込んでいきます)と言う。黒人として組織の中でいかに自分の居場所を切り開くかというテーマが、この一言に凝縮されている。警察という白人中心の組織の中で居場所を探すロンの姿勢を端的に表した重要なセリフだ。なお、niche(ニッチ)は「特定の隙間」「自分にぴったりの場所・役割」という意味で、こちらも覚えておきたい表現である。
Born Ready.
生まれたときから準備はできてる
Born ready. は「もう準備万端」「最初からやる気満々」という意味のカジュアルな表現だ。Are you ready?(準備はいい?)と聞かれたときに I was born ready.(生まれたときから準備はできてる)と返すのが定番の使い方で、自信満々な様子や強がりを表すときに使う。映画やスポーツの世界でもよく耳にする決め台詞的なフレーズだ。 Was she nervous before the big game? No way — she was born ready.(大一番の前に緊張していたの?まさか、あの子は生まれた時から準備ができてるんだよ)のように使う。また誰かに挑戦状を叩きつける場面でも使われ、I was born ready for this challenge.(この挑戦を受けるために生まれてきたようなものだ)のようなニュアンスにもなる。 『ブラック・クランズマン』では複数の場面でこのフレーズが登場する。最初はチーフ・タガートとチャックがロンに任務の準備ができているかを確認する場面で、Ron was born ready.(ロンは生まれたときから準備できてる)とロン自身が答える。また映画の中盤以降、ロンとチャックが互いを鼓舞し合う場面でも Born ready was Ron. / You too, Ron.(生まれた時から準備できてるのがロン/あなたもね、ロン)というやり取りが繰り返される。二人のバディ的な関係性を示すリフレイン的な台詞になっており、ユーモアと勇気が混ざり合った表現として機能している。
