■この映画のご紹介
Table of Contents
−- ■この映画のご紹介
- ■この映画で使われている会話表現とスラング
- house-broken
- corn dog
- piffle
- yawn
- a mild swelling
- break ground
- mover and shaker
- orchestrate
- You flush it, I flaunt it.
- bum rap
- catnip
- to die for
- straddling
- high fibre
- mistletoe / A kiss can be even deadlier, if you mean it.
- catnap / "Gotta go."
- life's a bitch — now so am I.
- I can't sleep at night.
- played this city like a harp from hell
- I'm no cat. I'm just an assistant.
- meow
- I saw her first.
- I've got seven lives left.
- Don't be naive.
- the obedience / It's not the caffeine that buzzes us — it's the obedience.
1992年公開、ティム・バートン監督による『バットマン リターンズ』は、1989年の第1作に続くシリーズ第2弾である。クリスマスシーズンのゴッサム・シティを舞台に、ペンギン(オズワルド・コブルポット)、キャットウーマン(セリーナ・カイル)、そして実業家マックス・シュレックという3人の悪役と、バットマンことブルース・ウェインが激突する。マイケル・キートン、ミシェル・ファイファー、ダニー・デビートという豪華キャストが話題を呼び、ティム・バートンの独特のゴシック美学が最も色濃く表れた作品として、今なお根強いファンを持つ。 脚本はダニエル・ウォーターズが担当しており、キャラクターの個性を際立たせるウィットに富んだセリフが随所に散りばめられている。バットマンとキャットウーマンの間に漂う奇妙な緊張感、ペンギンの毒舌、シュレックの傲岸不遜なビジネストーク、そしてセリーナのひとり言まで、英語表現を学ぶ上で実に豊かな素材が詰まったスクリプトだ。以下では、このスクリプトの中から英語学習者にとって特に興味深い表現・スラングをピックアップして解説する。
■この映画で使われている会話表現とスラング
house-broken
しつけができている/行儀が良くなった
house-broken は本来、犬や猫などのペットが室内で粗相をしないようにトイレのしつけができている状態を指す形容詞である。ところが人間に対して使うと、「礼儀作法が身についている」「組織のルールに従うように慣らされた」という意味になる。多くの場合、皮肉や軽蔑のニュアンスを含んで使われる表現だ。 例えば、Is the new employee house-broken yet?(新入社員はもう組織に馴染んだかね?)のように、上から目線で部下を動物扱いするような文脈で使われることがある。あるいは The new puppy isn’t house-broken yet.(子犬はまだトイレトレーニングができていない)という本来の意味でも日常的に使われる。 『バットマン リターンズ』では、セリーナが勇気を出して会議室で発言しようとしたとき、マックス・シュレックが冷淡にこう言い放つ。I’m afraid we haven’t properly house-broken Ms. Kyle.(カイル嬢はまだきちんとしつけができていないようで)。さらに In the plus column, though, she knows how to brew coffee.(まあプラスの点として、コーヒーの淹れ方は心得ているけどね)と続ける。自分の部下を犬のように扱うシュレックの傲慢さが、この一言にすべて凝縮されている。 英語では、組織や社会のルールに従わせることを動物のしつけに例えることがある。break someone in(新しい役職や環境に慣れさせる)なども類義の表現だ。house-broken というユーモラスかつ侮辱的な表現を知っておくと、映画やドラマの中での力関係の描写をより深く読み取ることができる。
corn dog
間抜け/みっともないやつ
corn dog はアメリカの伝統的なファストフードで、ソーセージを串に刺してコーンマフィンの生地をまぶして揚げたものである。しかしこの映画では、セリーナ・カイルが自分自身を罵倒するスラングとして使っている。間抜けな行動をしてしまった自分への自己批判の言葉として、corn dog(馬鹿者、間抜け)というユニークな表現を繰り返すのだ。 スラングとしての corn dog は標準的な辞書には載っていないが、文脈から「情けないやつ」「思慮の足りないやつ」というニュアンスで使われていることがわかる。doofus(間抜け)や dummy(バカ)と同様のトーンで、自嘲的に使われている。 『バットマン リターンズ』では、セリーナが会議室で発言しかけて「実はただの質問なんですけど…」と言い訳してしまった後、一人になったオフィスでひとり言を言う場面がある。”Actually more of just a question.” You stupid corn dog. Corn dog. Corn dog.(「実はただの質問で…」って。このバカ。コーンドッグ。コーンドッグ)と、自分の不甲斐なさを責め続ける。後半でもファイルを取りに帰ることを忘れた場面で、You stupid corn dog. Corn dog. Deep fried! Corn dog…(この間抜け、コーンドッグ。揚げたコーンドッグ!)と、自己嫌悪を炸裂させる。このセリーナのひとり言は、彼女のユーモラスで自虐的なキャラクターを象徴している。 独特な罵倒語を使ってキャラクターの個性を表現するこの手法は、映画スクリプトの面白さのひとつだ。英語のスラングは状況と文脈の中で意味が生まれることが多く、辞書に載っていない表現でも前後関係から意味を推測する力を養うことが英語学習では重要である。
