■この映画のご紹介
Table of Contents
−- ■この映画のご紹介
- ■この映画で使われている会話表現とスラング
- Not too shabby.
- spender
- deadass
- mind your own business
- sausage party
- Calvin Klein
- FOB
- jackrabbit
- I would have gone to 30.
- green card
- I'll be pressing charges.
- annulment
- I've been dealing with his shit since he was six years old.
- walk away with
- He's a spender. / He's not answering.
- I'm so fucked.
- I give it two weeks, bitch.
- rape eyes
- touché
マンハッタンの高級ストリップクラブで働く23歳のアノーラ(通称アニ)は、ロシアの大富豪の息子イヴァン(21)と出会い、週1万5千ドルという破格の報酬で「彼女役」を引き受ける。ラスベガスへの旅行中、酔った勢いでイヴァンから結婚を申し込まれ、二人は電撃入籍。夢のような生活が始まったのも束の間、イヴァンの両親が遣わした手下たちが押しかけ、婚姻の取り消しを迫ってくる。ショーン・ベイカー監督による本作は、2024年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。派手なスラングと生々しいニューヨークの空気感に満ちたセリフが、英語学習の格好の教材となっている。
■この映画で使われている会話表現とスラング
Not too shabby.
なかなかのもんじゃないか/悪くないね
not too shabby は「なかなかのものだ」「悪くない」「かなりいい」という意味のインフォーマルな表現だ。shabby は本来「みすぼらしい」「粗末な」という意味の形容詞なので、not too shabby は字義通りには「みすぼらしすぎるわけじゃない」となるが、実際の用法では控えめな言い方で「かなりいい」「十分立派だ」というニュアンスになる。謙遜や皮肉のトーンが混じることもあるが、素直な驚きや感心を表す場合にも使われる。特にアメリカ英語の日常会話でよく聞かれるカジュアルな表現である。 日常会話での使い方としては、友人の新居を初めて訪ねたときに Your apartment is not too shabby!(あなたのアパート、なかなかいいじゃない!)と言ったり、試合の結果が予想以上によかったときに We won by ten points. Not too shabby for a first game.(10点差で勝った。初戦にしてはなかなかのもんだよ)のように使う。褒め言葉でありながら、あえて控えめに表現することで、英語らしいユーモアや洒落た感覚が出る。 『アノーラ』では、ストリップクラブで働くアニが初めてイヴァンの豪邸を訪れる場面で、広大な邸宅を見回しながら Wow. Not too shabby.(へえ、なかなかのもんじゃない)とつぶやく。ウォーターフロントに建つ豪華な邸宅、床から天井まで届く窓、デザイナーズ仕様の内装……そのすべてに圧倒されながらも、気取らずサラリと感想を口にするアニの性格がよく表れている一言だ。このセリフひとつで、彼女が億万長者の息子の家を初めて訪れるという状況のスケール感が伝わってくる。 類似表現としては That’s pretty impressive.(なかなかすごい)、That’s nothing to sneeze at.(あなどれない)、That’s quite something.(なかなかのものだ)などがあり、いずれも控えめな言い方で感心を表す表現だ。スピーキングの幅を広げる上でぜひ覚えておきたい一言である。
spender
気前よく金を使う客
spender とは「金を惜しまずに使う人」「太っ腹な客」を指す英語の名詞だ。spend(お金を使う)に -er がついた形で、特に接客業やナイトクラブなどの文脈では、多額の金を気前よく使ってくれる上客を指す業界用語として定着している。big spender という形で使われることも多く、「大金を豪快に使う人」というニュアンスになる。日本語で言う「太客(ふときゃく)」「上客」に近い概念だ。 日常での使い方としては、He’s a big spender. He always picks up the tab.(彼は気前がいい。いつも会計を払ってくれる)や Don’t let her plan the trip—she’s not exactly a big spender.(旅行の計画は彼女に任せない方がいい。そんなに気前よく使う人じゃないから)のように使う。 『アノーラ』では、クラブのオーナーであるジミーがアニに新客のイヴァンを紹介する際、He’s a spender. Let’s go.(気前のいい客だ。行くぞ)と言う場面がある。ジミーにとってイヴァンはビジネス上の上客であり、アニを急いで連れて行こうとするこの一言には、金になる客を逃すまいとする経営者の本音がにじんでいる。このたった一言が、後に続くアニとイヴァンの関係の出発点となる重要なセリフだ。 ナイトクラブや接客業を舞台にしたドラマや映画には spender や big tipper(チップをはずむ客)といった表現が頻出する。こうした業界用語を知っておくと、映画やドラマの理解がぐっと深まる。
