Don’t even think about it.とは?
英語の映画やドラマ、あるいは日常会話の中で、誰かが何かをしようとした瞬間に制止する場面があります。そんなときによく耳にするのが、Don’t even think about it.というフレーズです。日本語に訳せば、「考えるだけでもやめろ」「その考えは捨てろ」「絶対にだめだ」「やろうとするな」といったニュアンスになります。
文字通りに読めば「それについて考えることさえするな」という意味ですが、実際には「そんなことをしようとするな」「もってのほかだ」「論外だ」という強い禁止・拒絶の意思を表しています。相手の行動を未然に防ぐ、あるいは提案や要求をきっぱりと断る場面で使われる非常に力強い表現です。
シンプルな構造でありながら、感情の強さと意図の明確さが凝縮されたこのフレーズは、まさに「生きた英語」の代表格といえます。この記事では、表現の成り立ちから使われる場面、会話例、注意点まで詳しく解説していきます。
表現の成り立ちを理解する
このフレーズを構成する要素を一つひとつ確認してみましょう。
まずDon’t think about it.だけでも「それについて考えるな」という禁止の意味になります。ところがここに「even」が加わることで、表現のニュアンスが大きく変化します。
evenは「〜でさえも」という意味を持つ副詞で、否定文の中で使われると「〜することさえするな」という最大級の強調になります。つまりDon’t even think about it.は、「考えるという行為そのものさえも許さない」というメッセージを伝えており、単なる禁止を超えた絶対的な拒絶・制止の表現として機能しているのです。
日本語で例えるなら、「やめなさい」ではなく「やろうと思うことすら許さない」という感覚に近く、それだけ強い意志と感情が込められたフレーズです。
どんな場面で使われるのか?
Don’t even think about it.が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- 相手が何か危険なことや禁じられたことをしようとしているのを見て、即座に制止するとき
- 誰かが無謀な計画や提案を口にしたとき、それを真っ向から却下するとき
- 子供やペットが悪さをしようとした瞬間に警告するとき
- 交渉や議論の中で、相手の要求や条件を完全に拒否するとき
- 冗談半分に何かを言い出した相手に対して、半ば笑いながらも釘を刺すとき
共通しているのは、「相手の行動や考えを事前に食い止めたい」「その方向性は絶対に認めない」という強い意志が背景にある点です。状況によって怒り・警告・呆れ・ユーモアなどさまざまな感情を帯びることができる、非常に汎用性の高い表現でもあります。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:危険な行動を制止する
A: I'm thinking about jumping off that rock into the river. B: Don't even think about it. The current is way too strong. A: あの岩から川に飛び込もうと思ってるんだけど。 B: 考えるだけでもやめろ。流れが強すぎる。
例2:無謀な提案を却下する
A: Maybe I should quit my job and travel the world without any savings. B: Don't even think about it. You have rent to pay next month. A: 貯金なしで仕事辞めて世界旅行しようかな。 B: そんな考えは捨てなさい。来月の家賃どうするの。
例3:交渉の場で拒絶する
A: What if we cut your bonus this quarter? B: Don't even think about it. I've already exceeded every target. A: 今四半期のボーナスをカットするのはどうでしょう? B: 論外です。すでにすべての目標を超えていますから。
例4:ユーモアを交えた警告
A: Can I have the last slice of pizza? B: Don't even think about it. That one's mine. A: ピザの最後の一切れもらっていい? B: 考えるだけでもやめて。それは私のだから。
ニュアンスと使い方の注意点
① 声のトーンで意味が変わる
Don’t even think about it.は、発音のトーンや状況によって受け取られ方が大きく異なります。低く鋭く言えば本気の怒りや警告として、軽くさらりと言えばユーモアや冗談めかした制止として伝わります。英語学習者はこのトーンの使い分けに注意しましょう。
② 短縮・変化形も覚えておこう
日常会話では以下のような関連表現も頻繁に使われます。
- Don’t even. ― フレーズを途中で切った超短縮形。親しい間柄でよく使われる
- Not a chance. ― 「絶対にない」という拒絶表現
- Forget it. ― 「あきらめろ」「無理だ」というニュアンスの却下表現
- Out of the question. ― 「論外だ」「問題外だ」というフォーマルにも使える拒絶表現
③ 使う相手と場面を選ぶ
このフレーズは直接的で強い表現であるため、目上の人や初対面の相手に対してそのまま使うと失礼に聞こえる場合があります。フォーマルな場面ではI wouldn’t recommend that.やThat might not be the best idea.など、柔らかい言い回しを選ぶのが賢明です。
まとめ
Don’t even think about it.は、相手の行動や考えを未然に制止する、非常にパワフルで明快な表現です。evenという一語が加わることで、単純な禁止を超えた絶対的な拒絶のニュアンスが生まれます。
映画やドラマでも頻繁に登場するため、耳に馴染みやすいフレーズでもあります。ぜひトーンや文脈に注目しながら、この表現が実際にどう使われているかを観察してみてください。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。
