■この映画のご紹介
本作は、大人気ホラー映画シリーズ『スクリーム』の世界観を継承した、新たな物語である。カリフォルニア州の静かな郊外の町、ウッズボロ。ある夜、女子高生のタラ・カーペンターが、かつて町を震撼させた殺人鬼「ゴーストフェイス」に襲われる。一命を取り留めたものの、事件を知った姉のサムは、恋人のリッチーと共に5年ぶりに故郷へと戻る。サムは、自分がこの町を去った原因であり、誰にも話せなかった暗い秘密を抱えていた。それは、初代ゴーストフェイス殺人鬼の一人、ビリー・ルーミスの実の娘であるという事実だった。次々と若者たちがゴーストフェイスの新たな標的となる中、サムは妹と友人たちを守るため、過去の殺人事件の生存者であるデューイ、ゲイル、そしてシドニー・プレスコットに助けを求める。ホラー映画の「ルール」を逆手に取ったシリーズの伝統を踏まえつつ、現代の「レガシー続編(リクエル)」の在り方を問い直す、予測不能のセルフパロディ・スラッシャーホラーだ。
■この映画で使われている会話表現とスラング
screw the pooch
大失敗する、へまをやらかす
screw the pooch は「とんでもない大失敗をする」「完全に台無しにする」という意味を持つ、非常に口語的なアメリカ英語のスラングである。screw up や mess up よりもさらに深刻で、取り返しのつかないような大失態を犯した際に使われる。ユーモラスな響きを持つ一方で、その意味するところは非常にネガティブである。この表現の語源は、作家トム・ウルフが1979年に発表した、アメリカの宇宙開発計画の黎明期を描いたノンフィクション『ザ・ライト・スタッフ』に由来すると言われている。作中で、テストパイロットたちが致命的なミスを犯すことを隠語として使っていたとされ、そこから一般に広まった。pooch は「犬」を意味する俗語であり、直訳すると意味をなさないが、その奇妙な響きが表現のインパクトを強めている。
日常会話では、仕事で重大なミスを犯した時や、計画が完全に頓挫してしまった時などに使うことができる。例えば、I completely screwed the pooch on that presentation. Everyone was staring at me.(あのプレゼンで完全に大失敗しちゃったよ。みんなにじろじろ見られてさ)のように、自虐的に自分の失敗を語る際に使ったり、He really screwed the pooch by forgetting his wife’s birthday.(彼は妻の誕生日を忘れるという大失態を演じた)のように、他人の失敗を指して使うこともできる。非常にインフォーマルな表現なので、ビジネスの公式な場や目上の人に対して使うのは避けるべきである。
『SCREAM FOREVER|邦題なし』では、主人公の姉タラが電話口の殺人鬼(ゴーストフェイス)と対峙する緊迫した場面で登場する。タラは、電話の相手が母親の知り合い「チャーリー」であり、母親が参加している自助グループの匿名性を破ってしまったと勘違いしている。タラは相手を問い詰める中で、…since you’ve already screwed that particular pooch, I propose you answer my question…(あなたはその特定の犬を台無しにしちゃったわけだから、私の質問に答えることを提案するわ)と言い放つ。ここでの screwed that particular pooch は「(匿名性を守るという)重大なルールを破って大失敗した」という意味で使われている。タラは相手の失態を突き、情報を引き出そうと優位に立とうとしている。このスラングを使うことで、彼女の気の強さと、相手をからかうような皮肉めいた態度が見事に表現されている。
fancy pants
気取った、高級な、凝りすぎた
fancy pants は、人や物事が「気取っている」「高級ぶっている」「必要以上に凝っている」ことを指す、やや嘲笑的なニュアンスを含む口語表現である。fancy は「豪華な」「しゃれた」、pants は「ズボン」を意味するが、これらが組み合わさることで、まるで装飾過多なズボンを履いているかのように、見栄を張ったり、気取ったりしている様子を揶揄する言葉として使われる。形容詞的に使われることが多く、a fancy-pants restaurant(気取ったレストラン)や fancy-pants ideas(小難しくて凝りすぎたアイデア)のように名詞を修飾する。また、Don’t be so fancy-pants.(そんなに気取るなよ)のように、人に対して直接使うこともある。smart-ass(知ったかぶり)や snob(俗物)と似たようなニュアンスで、相手の態度や選択を少し見下したり、からかったりする際に用いられる。
日常会話では、友人同士のカジュアルなやり取りで頻繁に登場する。例えば、友人が非常に高価で格式高いレストランに誘ってきた際に、That place is a little too fancy-pants for me. I’d rather just get a burger.(その店は僕にはちょっと気取りすぎてるかな。ハンバーガーでいいよ)といった具合に使うことができる。また、専門用語や難しい言葉を多用する人に対して、Stop using all those fancy-pants words and just tell me what you mean.(そんな小難しい言葉を使うのはやめて、何が言いたいのか普通に教えてよ)と頼むような場面でも使える。親しい間柄で使えばユーモラスな表現だが、使い方によっては相手を侮辱していると受け取られる可能性もあるため、状況や相手との関係性を考慮する必要がある。
『SCREAM FOREVER|邦題なし』では、電話口のゴーストフェイスがタラの好きなホラー映画を尋ねるシーンでこの表現が使われる。タラが好きな映画として『ババドック 暗闇の警告』を挙げ、「母性と悲しみについての素晴らしい瞑想よ」と解説すると、ゴーストフェイスは Isn’t that a little fancy pants?(それはちょっと気取ってないか?)と返す。ここでは、タラの映画の好みが「高尚すぎる」「小難しい」とからかう意図で使われている。ゴーストフェイスは、もっと単純で分かりやすいスラッシャー映画を好んでおり、タラの「高尚なホラー(elevated horror)」という考え方を、この fancy pants という一言で切り捨てている。このやり取りを通じて、犯人が伝統的なホラー映画のファンであり、近年のホラーの潮流に批判的であることが示唆されている。
