I trusted you with everything.とは?
英語の映画やドラマ、小説などで感情が高ぶる場面に差し掛かると、ふと耳に残るフレーズがあります。I trusted you with everything.もそのひとつです。日本語に訳すなら、「あなたに全てを任せていた」「あなたを全面的に信頼していた」「すべてをあなたに預けていた」といったニュアンスになります。
文の構造としては、trust(信頼する・任せる)という動詞に「with + 名詞」を組み合わせた形で、「〜を誰かに託す・預ける」という意味を表します。everything(すべて)という言葉が加わることで、単なる信頼ではなく、自分の持つすべてを相手に委ねたという深い感情的な重みが生まれます。日本語で言えば、「あなたのことを信じていた」というよりも「全てをさらけ出してあなたを信じていた」という切実さが込められています。
この表現は多くの場合、裏切りが発覚した瞬間や、信頼関係が崩壊した局面で使われます。怒り、悲しみ、失望が複雑に絡み合った感情を一文に凝縮させた、非常に表現力の高いフレーズです。
文法構造の解説:trust someone with something
このフレーズを正確に理解するには、trust + 人 + with + 物・事という文型を押さえておくことが大切です。
たとえば I trusted you with my secrets.(あなたに秘密を打ち明けた)や She trusted him with her children.(彼に子どもたちを任せた)のように使います。withの後には「相手に預けたもの・任せたもの」が来ます。今回のI trusted you with everything.では、その対象がeverythingつまり「すべて」であり、財産・秘密・感情・人生など、自分が持つあらゆるものを相手に委ねていたというニュアンスになります。
また、この文が過去形(trusted)になっている点も重要です。現在ではもうその信頼が存在しないことを暗示しており、だからこそ後悔・喪失感・怒りといった感情が自然と言葉に宿ります。
どんな場面で使われるのか?
I trusted you with everything.が登場する典型的な場面を見てみましょう。
- 恋人や配偶者に浮気や嘘が発覚したとき
- 長年の友人に秘密を暴露されたり、裏切られたとき
- ビジネスパートナーに横領や背信行為をされたとき
- 信頼していた家族に重大な嘘をつかれていたことを知ったとき
- 部下や同僚に全権を任せた結果、悪用されたとき
共通しているのは、「深く信頼していた相手に、その信頼を踏みにじられた」という経験です。このフレーズには糾弾の意味合いもあり、相手への問いかけではなく、感情の吐露・訴えとして発せられることがほとんどです。
会話例
例1:恋愛関係での裏切り
A: I trusted you with everything. My fears, my past, my heart. And you threw it all away. B: I know. I have no excuse. I'm so sorry. A: あなたに全てを預けていた。私の不安も、過去も、心も。なのに、全部捨てたのね。 B: わかってる。言い訳はできない。本当にごめん。
例2:ビジネスでの裏切り
A: I trusted you with everything — the accounts, the clients, the future of this company. B: I made a terrible mistake. I'll do whatever it takes to fix this. A: 全てを任せていたんだぞ。口座も、顧客も、この会社の未来も。 B: 取り返しのつかないミスを犯した。何でもするから、どうか許してほしい。
例3:友人関係の崩壊
A: I trusted you with everything I told you in confidence. How could you tell everyone? B: I didn't mean for it to go this far. I'm really sorry. A: 秘密にしてほしくて話したこと、全部信じて預けてたのに。なんで皆に言ったの? B: こんなことになるつもりじゃなかった。本当にごめんなさい。
ニュアンスと使い方の注意点
① 過去形が持つ「もう終わった」という重み
I trust you with everything.(現在形)とI trusted you with everything.(過去形)では、意味が大きく異なります。過去形を使うことで、「かつては信頼していたが、今はそうではない」という断絶が明確に示されます。この一語の違いが、フレーズ全体に深い悲しみと怒りをもたらします。
② 類似表現との違い
以下の表現と比較すると、このフレーズの特徴がより明確になります。
- I believed in you.(あなたを信じていた)― 能力や可能性への信頼
- I counted on you.(あなたを頼りにしていた)― 依存・期待のニュアンスが強い
- I trusted you.(あなたを信頼していた)― シンプルな信頼の表明
- I trusted you with everything.(全てをあなたに預けていた)― 自分のすべてを委ねたという、最も深い信頼と喪失感
③ トーンと感情の幅
このフレーズは、怒りを込めて激しく言うこともできますし、静かに、泣きながら絞り出すように言うこともできます。どちらのトーンでも成立する表現ですが、静かに言われるほど、かえって深い傷の大きさが伝わるという側面もあります。英語学習者は、映画やドラマでこのセリフが登場したとき、そのトーンにも注目してみてください。
まとめ
I trusted you with everything.は、信頼と裏切り、喪失と感情の深さを一文に凝縮した表現です。trust A with Bという文型の理解と、過去形が持つ「終わり」のニュアンスを掴むことで、このフレーズの本当の重みが見えてきます。日常会話で使う機会は限られますが、人間関係の核心に触れる場面で登場するこの表現を知っておくことは、英語の感情表現の幅を広げる上で非常に大切です。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。
