How could you do this?とは?
英語の映画やドラマ、日常会話の中で、誰かに深く傷つけられたり、裏切られたり、信じられない行動を目の当たりにしたりしたとき、感情がこみ上げるように発せられる言葉があります。How could you do this?もそのひとつです。日本語に訳せば、「どうしてこんなことができるの?」「なぜこんなことをしたの?」「信じられない、なぜこんなことを?」といったニュアンスになります。
文法的に見れば、How could you do this?は疑問文の形をしています。しかし実際の使われ方は、純粋に理由を聞いているというよりも、怒り・悲しみ・失望・裏切られた感情を相手にぶつける表現として機能することがほとんどです。日本語で言えば「どうして?」というよりも「なぜこんなことができるんだ!」という叫びに近い迫力があります。
couldという過去形の助動詞が使われている点も見逃せません。単なる疑問なら How can you do this?(なぜこんなことができるの?)でも成立しますが、couldを使うことで、「そんなことをする能力・資格が本当にあったのか?」という深い不信感や道徳的な問いかけが含まれます。この微妙なニュアンスの違いが、このフレーズを感情的に非常に重いものにしているのです。
表現の構造:could・you・do thisの組み合わせ
まず、この表現を構成する要素を一つひとつ確認しておきましょう。
Howは「どのように」「どうして」を意味する疑問詞ですが、ここでは方法を聞いているのではなく、感情的な問いかけ・非難の意味合いを持ちます。
couldは can の過去形ですが、この文脈では過去の出来事に対する問いかけというだけでなく、「そのような行為が道義的・人間的に可能だったのか」という驚きと批判が込められています。これは英語における仮定法・反語的な couldの用法の一つで、感情表現としての役割を担っています。
youは相手を直接指す二人称で、この表現の矛先が明確に相手に向けられていることを示します。
do thisは「こんなことをする」という行為の指示表現です。thisが指す内容は文脈によって異なりますが、多くの場合は直前に起きた出来事、発覚した裏切り、または許しがたい行為を指します。
これらが組み合わさることで、「あなたはどうしてこんなことをすることができたのか」という、怒り・悲しみ・失望の感情が一体となった問いかけが生まれるのです。
どんな場面で使われるのか?
How could you do this?が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- 親しい友人や恋人が自分の秘密を他人に話していたことが発覚したとき
- 信頼していた相手が自分を裏切るような行動を取ったと知ったとき
- 長い時間や労力をかけて作ったものを台無しにされたとき
- 大切な場面で約束を守らなかった相手に対して感情が爆発したとき
- 家族や同僚が予想外の裏切り行為をしたと判明したとき
共通しているのは、「信頼が壊された」「感情が深く傷ついた」「相手の行動が理解できない」という点です。純粋な疑問ではなく、感情が前面に出た表現であるため、声のトーンや状況によって受け取られ方も大きく変わります。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:秘密を漏らされたとき
A: How could you do this? I told you that in confidence! B: I'm so sorry. I didn't think it would hurt you like this. A: どうしてこんなことができるの?あれは内緒で話したのに! B: 本当にごめん。こんなに傷つけるとは思ってなかった。
例2:裏切りが発覚したとき
A: How could you do this to me? After everything we've been through together? B: I know. I have no excuse. I'm truly sorry. A: どうして私にこんなことができるの?一緒に色々乗り越えてきたのに? B: わかってる。言い訳のしようもない。本当に申し訳ない。
例3:大切なものを壊されたとき
A: How could you do this? That letter was the only thing I had left of her. B: I didn't know. I thought it was just old paper. I'm so sorry. A: なぜこんなことをしたの?あの手紙は彼女の形見として残っていた唯一のものだったのに。 B: 知らなかったんだ。古い紙だと思ってた。本当にごめん。
ニュアンスと使い方の注意点
① 疑問文の形をした感情表現である
How could you do this?は形の上では疑問文ですが、実際には答えを求めているというより、感情をぶつけるための表現として使われることが大半です。相手が返答しても、感情的な状況では会話が続かないこともあります。英語学習者は、この「疑問文形式の感情表現」という用法をしっかり理解しておくことが大切です。
② can との違いに注意しよう
How can you do this?も似た表現ですが、couldを使うことで、過去に起きた行為への強い批判・不信感・道徳的な問いかけが加わります。canは現在形であるため、今まさに起きていることへの反応として使われる場合もあります。両者は微妙に異なるニュアンスを持つため、状況に応じて使い分けられます。
③ 末尾を変えてバリエーションを広げよう
do thisの部分を変えることで、さまざまな状況に対応できます。
- How could you do this to me?(どうして私にこんなことができるの?)― 被害者としての自分を強調
- How could you do this to us?(どうして私たちにこんなことができるの?)― 関係全体への裏切りを示す
- How could you say that?(どうしてそんなことが言えるの?)― 言葉による傷つきに対して
- How could you lie to me like that?(どうしてそんな嘘がつけるの?)― 具体的な行為を指定した表現
④ トーンによって印象が大きく変わる
同じHow could you do this?でも、大きな声で怒りをこめて言えば激しい非難になり、小さく震えるような声で言えば深い悲しみや失望の表現になります。英語学習者は、このフレーズを映画やドラマで見かけたとき、どのようなトーンで発せられているかを注意深く観察してみてください。
まとめ
How could you do this?は、怒り・悲しみ・裏切られた感情・失望を一言で表現できる、感情的に非常に重みのあるフレーズです。文法的には疑問文でありながら、実際には感情をぶつける表現として機能するという点が、このフレーズの最大の特徴です。
couldという助動詞が持つ「道徳的・人間的に可能だったのか」という反語的な問いかけが、このフレーズに深い感情的エネルギーを与えています。映画やドラマの中で、このフレーズが発せられる瞬間のトーンや状況を意識して観察することで、英語の感情表現に対する理解が大きく深まるはずです。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。
