■この映画のご紹介
Table of Contents
−- ■この映画のご紹介
- ■この映画で使われている会話表現とスラング
- slag / slags
- DNA is cabaret
- Keep your feet on the ground
- rub two words together
- cheeky
- light 'em up
- the bollocks
- naff
- cringeworthy
- be enamoured by / with
- out of the womb
- clinically depressed
- have an eye for something
- recoup
- put on an account
- knock your socks off
- take a punt
- You lot
- to toe the line
- kleptomaniac (the theme of recouping)
- all that fancy shit
- up the duff
イギリスが生んだ世界的ポップスター、ロビー・ウィリアムズの半生を描いた音楽伝記映画である。1982年のストーク・オン・トレントに生まれた9歳の少年ロビーが、テイク・ザットのメンバーとしてデビューし、脱退後にソロアーティストとして復活を遂げるまでの波乱に満ちた物語が、彼自身の楽曲とともに語られる。特筆すべきはロビーをチンパンジーのCGキャラクターとして描くという独創的な演出で、主人公自身の自己評価や内なる葛藤を視覚的に表現している。薬物依存、精神的な崩壊、家族との確執を経て、本当の自分を受け入れていく過程が感動的に描かれた作品だ。
■この映画で使われている会話表現とスラング
slag / slags
クズ野郎/バカ野郎(親しみを込めた悪口)
slag はイギリス英語のスラングで、もともとは「炉滓(製鉄の際に出るカス)」を意味するが、人に対して使うと「だらしない人」「淫乱な人」「クズ」といった強い侮辱語になる。しかし友人同士で親しみを込めて使う場合は、日本語の「このバカ」「このアホ」に近いニュアンスになり、必ずしも深刻な侮辱とはならない。特にイギリス北部の若者文化では、仲間内でふざけて使うことが多い。 You silly slag!(このバカ!)や Come on, you slags, let’s go!(さあ行くぞ、お前ら!)のように使われる。後者はやや粗野ながらも、仲間を鼓舞するニュアンスを持つ。 『ベター・マン』では、冒頭のナレーションでロビーが Good evening folks. Good evening you slags.(みなさんこんばんは。このクズどもこんばんは)と観客に語りかける場面がある。一度 you slags と言いかけてすぐに Good evening folks と言い直す様子が、ロビーの自由奔放なキャラクターと自己検閲のユーモラスな葛藤を表している。また、サッカー場面でも Let’s go slags!(行くぞバカども!)とチームメイトに叫ぶ場面があり、親しみのある悪口として使われている。さらに物語を通じて Break a leg, you slags.(頑張れよ、この野郎ども)という台詞も登場し、ロビーのトレードマーク的な口癖として機能している。アメリカ英語では bastards や guys に相当するが、slag はあくまでもイギリス的な表現であることを覚えておくとよい。
DNA is cabaret
生まれつきの芸人気質
DNA is cabaret という表現は映画のオリジナルフレーズとも言えるが、ここで使われている cabaret というワードは非常に興味深い。cabaret はフランス語由来で、歌や踊り、コントなどを組み合わせたショーアートを指す。「ショービジネス的な」「エンターテイメントが染み付いた」という意味合いで使われており、my DNA is cabaret は「自分の遺伝子レベルでエンターテイナーの素質がある」「生まれついての芸人だ」という意味になる。 DNA を使った比喩表現は日常会話でも幅広く使われる。It’s in my DNA to compete.(競争心は私の本能だ)や Helping others is in her DNA.(他者を助けることが彼女の本性だ)のように使う。something is in one’s DNA という構文は「~は自分の本質的な部分だ」という強調表現として便利だ。 『ベター・マン』では、幼いロビーがサッカーで惨敗して泥だらけになりながら帰宅する場面で、ナレーションとして my DNA is cabaret. I came out of the womb with jazz hands… which was very painful for my mum.(僕のDNAはカバレーだ。生まれた瞬間からジャズハンドをしていた……それは母にとって非常に痛かったが)というセリフが登場する。jazz hands は両手を広げて指を広げるショービジネス的なポーズで、ミュージカルや芸人がよく使うジェスチャーだ。このユーモラスな自己紹介が、ロビーのキャラクターを瞬時に説明する巧みな表現となっている。
