■この映画のご紹介
Table of Contents
−- ■この映画のご紹介
- ■この映画で使われている会話表現とスラング
- Up your ass.
- give a wide berth
- morosely
- shoot fish in a barrel
- keep a low profile
- ditch
- sack out
- spry
- dipshit
- coax
- stethoscope
- wish in one hand and shit in the other
- emotional cripple
- serial fornicating
- play-date
- cherry-pick
- prick
- moron
- I've turned a corner
- Piece of cake.
- touched
- Fuck stick
サンタクロースに扮してデパートに潜入し、クリスマスイブに金庫を破って逃走するという詐欺を毎年繰り返している男・ウィリーと、彼の相棒で小人のマーカスが繰り広げるブラックコメディだ。ビリー・ボブ・ソーントンが主演を務めたこの作品は、2003年に公開され、その過激なユーモアと毒舌で世界中のファンを獲得した。オリジナル脚本はグレン・フィカーラとジョン・レクア、リビジョンをイーサン・コーエンとジョエル・コーエン兄弟が担当しており、それだけでもいかにクセのある作品かが伝わってくるだろう。 アル中で自堕落なウィリーが、ある孤独な少年との出会いを経て少しずつ変化していく様子は、不器用ながらも胸を打つ。下品なセリフや過激な描写が目立つ一方で、登場人物たちの哀愁や人間臭さが絶妙なバランスで描かれており、クリスマス映画の異色作として今も語り継がれる一作だ。英語学習の観点からは、アメリカの俗語・スラング・悪態表現の宝庫であり、リアルな口語英語を学ぶのに格好の素材である。
■この映画で使われている会話表現とスラング
Up your ass.
うせろ/くたばれ
Up your ass. は非常に粗野な侮辱表現で、「くたばれ」「うせろ」「失せろ」といった意味を持つ。直訳すると「お前の尻に突っ込んでやれ」という意味合いになるが、実際の会話では相手への激しい拒絶や軽蔑を示すために使われる。Shove it up your ass. や Get out of here. に近い感覚で、親しみを込めた冗談として使うこともあるが、見知らぬ人や目上の人に対して使うのは完全にNGである。特にアメリカ英語の口語表現として定番のスラングだ。 類似の表現として shove it(うせろ)、kiss my ass(いい気になるな)、go to hell(地獄に落ちろ)なども同じような文脈で使われる。いずれも非常に攻撃的なトーンを持っており、使いどころには十分な注意が必要だ。 『バッド・サンタ』では、クリスマスイブの夜、デパートを後にするウィリーに警備員のジェシーが「メリークリスマス、ウィリー」と声をかける場面がある。これに対してウィリーはひと言 Up your ass. と返す。ジェシーは笑いながら「好きにしな、ウィリー」と流すが、それに対してウィリーはさらに Don’t tell me which way to have it.(どうすればいいか言われたくない)と食ってかかる。この場面はウィリーの偏屈で投げやりな性格を端的に示しており、映画のトーンを一発で提示するシーンとなっている。クリスマスという祝福の雰囲気の中で発せられる毒のある一言が、このキャラクターの本質を体現している。 日常会話では絶対に使うべきでない表現だが、映画やドラマの中で頻繁に登場するため、その意味と文脈を理解しておくことは英語学習者にとって有益だ。特に感情が爆発したシーンや対立場面でこの種の表現が出てくることが多いため、聞き取った際に動揺しないよう知識として持っておきたい。
give a wide berth
近づかないようにする/避ける
give a wide berth to ~ は「~に近づかないようにする」「~を遠ざける」「~を避ける」という意味の慣用表現だ。もともとは航海用語で、船が他の船や障害物に近づかないよう大きな間隔を取ることを意味した。そこから転じて、危険なものや不快なものを意識的に避けるという意味で日常的に使われるようになった。 She gives a wide berth to her ex-boyfriend at parties.(彼女はパーティーで元カレに近づかないようにしている)や I give a wide berth to that neighborhood at night.(夜はその近所に近づかないようにしている)のように使う。何かを積極的に嫌っているというよりも、意識的に距離を置いているというニュアンスが強い。 『バッド・サンタ』のオープニングシーンで、バーの端にひとりで飲んでいるウィリーについて、脚本には他の客たちが given a wide berth(距離を置いている)と描写されている。サンタの衣装に身を包んだ不機嫌な男が黙々と酒を飲む姿に、誰もが近寄りがたさを感じているというシチュエーションをこの表現が的確に示している。物理的な距離だけでなく、社会的・心理的な距離感を表す際にも非常に便利な表現だ。映画やニュースの文章にもよく登場するため、覚えておくと読解の幅が広がる。
