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映画で学ぶ!「生きた英語」とスラングの世界

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映画を英語で楽しみたい人のための一冊! 学校では教わらない表現やスラングを紹介!

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A Real Pain|リアル・ペイン〜心の旅〜

ゆぶろぐ 2026年6月18日 7 分の読み取り

■この映画のご紹介

Table of Contents

−
  • ■この映画のご紹介
  • ■この映画で使われている会話表現とスラング
  • ring me
  • Dude / Cuz
  • check in
  • Hang out
  • good shit
  • government immunity
  • disregard
  • a little warm
  • I hate that shit
  • Yo
  • Step back / Lemme look at you
  • I'm good
  • Con out / conk out
  • take off
  • swoop in
  • oversharing
  • Open book
  • Rad
  • joinin up / enlist
  • Sausage party
  • Geriatric
  • Funk
  • Downhill
  • Fucked up system
  • na zdrowie
  • mishigas
  • Trigger
  • I'm gonna be fine

祖母の遺言によってポーランドへの旅費を受け取った、性格も生き方もまったく異なる二人の従兄弟、デイヴィッドとベンジー。ホロコーストで亡くなった祖母の故郷を辿るユダヤ人遺産ツアーに参加しながら、二人は積み重なった感情や言えなかった言葉と向き合っていく。ジェシー・アイゼンバーグが脚本・監督・出演を務めた本作は、喜劇と悲劇の狭間で揺れる人間関係と、歴史の重みを繊細かつユーモラスに描いた作品である。

■この映画で使われている会話表現とスラング

ring me

電話してくれ

ring は「電話をかける」という意味の動詞で、主にイギリス英語で使われる。アメリカ英語では call が一般的だが、イギリスやオーストラリアなどでは ring の方が自然な表現として日常的に使われる。ring me は「私に電話してくれ」という意味で、give me a ring(電話をちょうだい)や ring me up(電話してくれ)という形でもよく使われる。

日常会話では、Just ring me when you’re on your way.(向かっているときに電話して)や I’ll ring you tomorrow morning.(明日の朝、電話するね)のように使われる。携帯電話が普及した現代でも、イギリス英語圏ではごく自然に使われる表現だ。

『A Real Pain』では、デイヴィッドが空港に向かいながらベンジーにひっきりなしにメッセージを残す場面で、Just ring me when you get this.(これを聞いたら電話してくれ)という表現が繰り返し登場する。ベンジーからの返信が一切ないにもかかわらず、デイヴィッドは空港の道路状況から「良いニュース、渋滞が解消した」などの些細な情報まで伝え続ける。几帳面で心配性なデイヴィッドの性格と、まったく電話に出ないベンジーという対比が序盤から笑いを生んでいる。ring me という一言に、イギリス英語的な響きと、日常的なコミュニケーションのズレという普遍的なおかしさが詰まっている。

また、ring の名詞形も重要で、Give me a ring sometime.(いつか電話してね)のように使われる。call と ring を使い分けられると、英語の幅が一段と広がるだろう。

Dude / Cuz

おい、なあ(友達への呼びかけ)/従兄弟

dude はアメリカ英語の代表的なスラングで、友人や知り合いへのカジュアルな呼びかけとして使われる。元々は「気取った男」を指す言葉だったが、現代ではほぼ意味を失い、Hey, dude!(よう!)やDude, what happened?(なあ、何があったんだ?)のように感嘆詞的に使われる。性別を問わず使われることもある。

cuz は cousin(従兄弟・従姉妹)の略であり、スラングでは親しい友人への呼びかけにも使われる。実際の血縁関係がなくても What’s up, cuz?(よう、どうした?)のように使える。

『A Real Pain』では、空港でベンジーがデイヴィッドを見つけた瞬間に Dude. What’s up cuz!(おい!よう、従兄弟!)と呼びかける場面がある。一方デイヴィッドは Benji! Yo.(ベンジー!よう)とやや落ち着いた反応を見せ、二人の気質の差がこの一言から伝わってくる。ベンジーはデイヴィッドに一周りして全身を見せるよう促し、Shit, man! Look at you — all healthy, wealthy and wise!(すごいな!見ろよ、健康で裕福で賢そうだ!)と笑顔で言う。スラングを自然に連発するベンジーと、礼儀正しくやや固いデイヴィッドという対比が映画全体を通して続く。dude や cuz は特に若い世代のアメリカ英語に頻出するため、映画やドラマ鑑賞に必須の表現だ。

check in

(フライトの)チェックインをする

check in は「チェックインする」という意味で、空港や宿泊施設で手続きを済ませることを指す。I already checked in online.(もうオンラインでチェックインした)や We need to check in at least two hours before the flight.(フライトの少なくとも2時間前にはチェックインしなければならない)のように使われる。

check in は空港・ホテル以外にも幅広く使われる表現だ。SNSでの位置情報投稿(チェックイン)のほか、Just checking in to see how you’re doing.(元気かどうか確認のために連絡してみた)のように、相手の様子を確認するという意味でも日常的に使われる。

『A Real Pain』では、デイヴィッドが空港でベンジーにWe should probably check you in.(チェックインした方がいいんじゃないか)と言うと、ベンジーはOh no, I’m good. I checked in a while ago.(いや、大丈夫だよ。さっきチェックイン済ませた)と答える。フライトの2時間前だというのに、ベンジーはすでに「数時間前」から空港にいたことが判明する。I met this guy Kelvin who was from Brunei.(ブルネイ出身のケルヴィンって男に会ってさ)と語り始めるベンジーに、デイヴィッドは戸惑いを隠せない。チェックインという実用的な表現を起点に、ベンジーの自由奔放な性格が鮮やかに描かれるシーンだ。

Hang out

(特に目的なく)ぶらぶらする、時間をつぶす

hang out は「(特に予定もなく)ぶらぶらする」「たむろする」「気楽に時間を過ごす」という意味のインフォーマルな表現だ。We used to hang out every weekend.(毎週末一緒につるんでいたよね)や Do you want to hang out later?(後でどこかで会わない?)のように使われる。

hang out with someone で「誰かと一緒に過ごす」という意味になり、日本語の「つるむ」に近い感覚だ。名詞形の hangout は「たまり場」「よく行く場所」という意味で使われる。This café is our usual hangout.(このカフェがいつものたまり場だ)のように使う。

『A Real Pain』では、ベンジーがなぜフライトの数時間前から空港にいるのかをデイヴィッドに説明する場面で、Yeah, but they open the airport super early. You can just hang out.(空港って早くから開いてるからさ。そのままぶらぶらできるじゃん)と言う。ベンジーにとって空港は人と出会える場所であり、ケルヴィンという謎の武器商人とも仲良くなっていた。hang out という言葉が象徴するように、ベンジーはどこにいても人との繋がりを自然に作り出す人物として描かれている。一方のデイヴィッドにとっては「時間の無駄」にしか見えない行動が、ベンジーには豊かな体験として映っているという対比が面白い。

good shit

いいもの、上質なやつ(俗語)

shit はもともと卑語だが、スラングとしてさまざまな意味で使われる。good shit は「良いもの」「上質なやつ」「すごいもの」という意味で、肯定的な評価を示すために使われる。That movie was good shit.(あの映画、最高だったよ)や This coffee is really good shit.(このコーヒー、マジで旨い)のように使われる。文脈によって意味が大きく変わるため、使いこなすには慣れが必要だ。

また、shit には「大変なこと」「ひどい状況」という意味もあり、I’m in deep shit.(まずい状況にある)や That’s some crazy shit.(それはとんでもないことだな)のようにも使われる。

『A Real Pain』では、ベンジーが空港のセキュリティを抜けた後にデイヴィッドに I also got some shit for us for when we get in. Like: very, very good shit.(向こうに着いたら使うものも用意してある。超いいやつだよ)と囁く場面がある。これはポーランドに郵送していた大麻のことを指している。「とても良いやつ(大麻)」をgood shitと表現するベンジーの軽さと、セキュリティで冷や汗をかいていたデイヴィッドとの落差が笑いを生む。スラングの文脈依存性がよく分かる場面だ。

government immunity

政府のお墨付き(ここでは冗談めかした言い方)

immunity は「免疫」「免除」「特権」などの意味を持つ名詞だ。government immunity は「政府から与えられた免責特権」を指し、外交官などが法律の適用を免除される diplomatic immunity(外交特権)と同じような概念だ。ただし本作ではベンジーが完全に冗談として使っている。

Oh, like they’re gonna arrest two Jews in Poland for a little weed. That’s a good look for the Polish people.(ポーランドで少しの大麻で二人のユダヤ人を逮捕する?ポーランド人のイメージ的にないだろ)というセリフに続いて、We basically got government immunity there. The prodigal sons return.(俺たちはあそこでは事実上の政府免除みたいなもんだよ。放蕩息子たちの帰還だ)と続く。

prodigal son(放蕩息子)は聖書の比喩表現で、家を離れて放蕩した後に帰還する息子の話に由来する。「迷い子が帰ってきた」という意味合いで使われる。ベンジーは歴史的にポーランドから追われたユダヤ人の子孫として、自分たちがポーランドに戻ることを「プロダイガル・サンズの帰還」と大げさに表現しており、ブラックユーモアとしての immunity という言葉の使い方が絶妙だ。

disregard

無視してください、気にしないでください

disregard は「無視する」「気にしない」という意味の動詞・名詞だ。Please disregard my previous email.(先ほどのメールは無視してください)のようにビジネスメールでもよく使われる、やや改まった表現だ。口語では ignore の方がよく使われるが、disregard は「なかったことにする」というニュアンスが強い。

日常では You can disregard what I said earlier.(さっき言ったことは気にしないで)や The judge told the jury to disregard the testimony.(裁判官は陪審員にその証言を無視するよう命じた)のように使われる。

『A Real Pain』では、デイヴィッドが何度もベンジーに留守電を残した後、Yo, Benji, it’s me. I’m sorry I’m leaving so many messages. You can disregard them cause I’ll be there soon and I can’t wait to see you. And I will not leave you another message.(よ、ベンジー、俺だよ。何度もメッセージを残してごめん。もう着くからそれまでのは無視していいよ。もう電話しない)と言う場面がある。「もう電話しない」と言いながら、その直後にまた電話してしまうデイヴィッドの矛盾が笑いを生む。disregard という少し固い表現をカジュアルな文脈で使うことで、デイヴィッドの丁寧さと過剰さが同時に表れている。

a little warm

少しぬるい(常温になってしまった)

warm は「温かい」という意味だが、冷たくあるべきもの(ヨーグルトなど)が常温になっている状態を a little warm と表現することで、「少し残念な状態だが一応持ってきた」というニュアンスになる。It’s a little warm. は直訳すると「少しぬるい」だが、気まずさをやわらげるための言い訳にもなっている。

Sorry, the coffee’s a little warm; I made it a while ago.(コーヒーが少しぬるいです、さっき淹れたので)のように使われる。温かさが売りの飲食物に使われることが多い表現だ。

『A Real Pain』では、ベンジーがデイヴィッドのために空港でヨーグルトを買っておいた場面で、Don’t worry. I picked you up a yogurt. It’s a little warm.(心配しなくていいよ。ヨーグルト買っておいたよ。少しぬるいけど)と言う。デイヴィッドがDid you really get this for me?(本当に俺のために買ってくれたの?)と驚くと、Of course, dude. I figured you’d be rushing around and everything.(もちろん。焦って来るだろうと思って)とベンジーは答える。ベンジーの無頓着さと根本的な優しさの両方が凝縮されたシーンだ。なお、その後デイヴィッドはゴミ箱にそっとヨーグルトを捨てるというオチも秀逸だ。

I hate that shit

それ最悪だよ、大嫌いだよ(強い嫌悪の表現)

I hate that shit. は「それ最悪」「それ大嫌い」という強い嫌悪感をカジュアルに表す口語表現だ。shit はここでは特定の汚物を指すのではなく、「そういうこと」「そういうもの」という漠然とした対象を指す強調のスラングとして使われている。I hate that stuff. とほぼ同義だが、shit の方がよりくだけていて感情の強さが増す。

Man, I hate that shit. It’s so annoying.(いや、本当にそれ最悪。超うざい)や I hate that kind of fake apology.(ああいう形だけの謝罪は本当に嫌いだ)のように使われる。

『A Real Pain』では、デイヴィッドが仕事についてYou know when you see, like, an Ad Banner online?(ネットで広告バナーって見るじゃないですか?)と説明すると、ベンジーが即座にYeah, I hate that shit.(ああ、あれ最悪だよ)と答える場面がある。デイヴィッドがHey, come on-(ちょっと待てよ)と反論しようとすると、No, I mean, everybody hates that shit. Right?(いや、みんな嫌いでしょ、あれ)とベンジーは続ける。デイヴィッドはIt’s kind of the life blood of the internet.(インターネットの命綱みたいなもんなんだよ)と真剣に語るが、ベンジーはyou’re just part of a fucked up system(お前はただ壊れたシステムの一部だよ)とばっさり切り捨てる。このやり取りに二人の価値観の違いが凝縮されている。

Yo

よう/おい/ちょっと聞いてよ

yo はアメリカのスラングで、友人への呼びかけや「ねえ」「おい」「ちょっと」というような感嘆詞として使われる。Hey よりもストリート感があり、都市部の若者言葉として広まった。文の最初に置いて呼びかけとして使うほか、文末に置いてI’m hungry, yo.(腹減った、ほんとに)のように強調としても使われる。

Yo, dude, what are you doing?(おい、何してんだよ)やYo! Wait up!(おい、待ってくれよ!)のように使う。ベンジーはこのyoを会話の中で非常に頻繁に使い、彼のキャラクターを象徴する言葉の一つになっている。

『A Real Pain』では、ベンジーが飛行機の機内安全アナウンス中にデイヴィッドと話し続けるデイヴィッドに対して、Yo, dude. I think they want us to pay attention.(おい、アナウンス聞こうよ)と注意する場面がある。デイヴィッドが驚いてSeriously?(本気で?)と聞くと、Yeah, man, they’re just tryin to do their jobs.(ああ、彼女たちはただ仕事をしてるだけだろ)とベンジーは真顔で答える。マナーに無頓着に見えるベンジーが、実は他人への配慮において誰よりも自然体であることが伝わる微笑ましいシーンだ。

Step back / Lemme look at you

一歩引いて/ちょっと見せてくれ

Lemme は let me の口語的な短縮形で、Lemme see.(見せてよ)、Lemme think.(考えさせて)のように頻繁に使われる。Step back and let me look at you. は久しぶりに会った相手を観察するときに使う表現で、日本語の「ちょっと離れて、全体を見せて」に相当する。

相手を評価する・感慨に浸るというニュアンスがあり、Oh my gosh, step back! Look at you, all grown up!(まあ、ちょっと見て!こんなに大きくなって!)のように使われる。特に久々の再会シーンでよく登場する表現だ。

『A Real Pain』では、空港でデイヴィッドと再会したベンジーが、Yo, step back! Lemme look at you!(おい、一歩引いてくれ!見せてくれよ!)と言い、デイヴィッドに回転するよう求める場面がある。デイヴィッドが少し恥ずかしそうに回ると、Shit, man! Look at you — all healthy, wealthy and wise!(すごいな!見て、健康で裕福で賢そうじゃないか!)とベンジーは褒め称える。その後、Turn around! Let me get the whole picture!(回れ!全体を見せてくれ!)とさらに要求するベンジーの屈託のなさと、従うデイヴィッドの微妙な表情のやり取りが笑いを生む。

I’m good

大丈夫です/結構です

I’m good. は非常に多用途な表現で、「元気です」「大丈夫です」「必要ありません」という三つの意味で使われる。How are you? に対してI’m good.(元気です)と答えるほか、Do you want more coffee? – No, I’m good.(コーヒーもう少しいかがですか? – いえ、結構です)のように断りとしても使われる。

フォーマルな場面ではI’m well. の方が文法的に正しいとされるが、現代の日常英語ではI’m good. が圧倒的に多く使われる。アメリカ英語の基本表現として覚えておきたい。

『A Real Pain』では、チェックインをしようとしたデイヴィッドにベンジーがOh no, I’m good. I checked in a while ago.(いや、大丈夫。さっきチェックイン済ませたよ)と答える場面がある。シンプルな表現だが、ベンジーのマイペースさを一言で表している。この後、ベンジーが空港で数時間過ごして武器商人と友達になっていたことが判明する流れも含め、I’m good. という表現がベンジーらしさを象徴していると言えるだろう。

Con out / conk out

意識を失って眠ってしまう、ぐっすり寝込む

conk out は「急に眠り込む」「ぐったりして倒れる」「故障して止まる」という意味の口語表現だ。人に使う場合は「疲れ果てて眠りに落ちる」という意味になることが多い。The baby conked out as soon as we got in the car.(車に乗ったとたん赤ちゃんはすぐ寝てしまった)や I was so tired I just conked out on the sofa.(あまりに疲れてソファでそのまま寝落ちした)のように使う。

機械や車が「動かなくなる」場合にも使われ、The engine conked out in the middle of the highway.(エンジンが高速道路の真ん中で止まってしまった)のように表現できる。

『A Real Pain』では、ベンジーがデイヴィッドの昔の習慣を懐かしそうに話す場面で、We’d make it over the Willie B and you’d conk out on a bench in Chinatown.(ウィリアムズバーグ橋を渡ってチャイナタウンまで来ると、お前はベンチで寝落ちするんだよ)と言う。二人で夜通しニューヨークを歩こうとしていたが、デイヴィッドはいつも途中で眠り込んでしまっていたというエピソードが語られる。I didn’t care that you fell asleep. I was just happy you were there.(寝てても気にしなかったよ。ただそこにいてくれることが嬉しかったんだ)というベンジーの言葉が、二人の関係を雄弁に語る。

take off

休暇を取る/仕事を休む

take off は「飛び立つ」という意味の他に、「仕事や学校を休む」という意味でも日常的に使われる。I took three days off last week.(先週3日間休みを取った)やI’m taking the afternoon off.(午後は休みにする)のように使う。take time off で「(まとまった)休暇を取る」という意味になる。

口語ではI need to take off early today.(今日は早退しなければならない)のように「その場を離れる」「早々に去る」という意味でも使われる。文脈によって意味が変わるため注意が必要だ。

『A Real Pain』では、飛行機の中でベンジーが Are you gonna have to like work the whole trip?(旅行中ずっと仕事するの?)と聞くと、デイヴィッドはNope – I was able to take off completely. I wanna be here. I wanna be present.(いや、完全に休みを取れた。ここにいたいし、この旅に集中したいんだ)と答える。I wanna be present. という言葉には「今この瞬間に存在していたい」という深い意味もあり、デイヴィッドが仕事や日常から離れてベンジーと向き合おうとする姿勢が伝わる。present(現在・存在)というキーワードは、映画全体のテーマとも繋がっている。

swoop in

さっと助けに来る、颯爽と現れる

swoop in は「素早く動いて助けに来る」「颯爽と現れて介入する」という意味のインフォーマルな表現だ。本来はタカなどの鳥が急降下して獲物を捕らえるイメージから来ている。She always swoops in and saves the day.(彼女はいつも颯爽と現れて状況を救ってくれる)やThe boss swooped in at the last minute and took credit for everything.(上司が土壇場に現れて全部の手柄を持っていった)のように使う。

ポジティブにもネガティブにも使える表現で、文脈次第でニュアンスが変わる。

『A Real Pain』では、ベンジーがグループの自己紹介の場面で、But I’ve been in such a shit place recently, so Dave swooped in, took some time off and arranged for us to join this geriatric Polish tour with you fine people.(でも最近ひどい状況にいてさ、そこにデイヴィッドが颯爽と現れて、仕事を休んでこのポーランドツアーを手配してくれたんだ)と語る。geriatric(老人向けの、高齢者の)という言葉をツアー参加者の前で使うベンジーの無頓着さも笑いを生んでいるが、swoop in という表現がデイヴィッドへの感謝と愛情を自然に含んでいるのが印象的だ。

oversharing

プライベートなことを話しすぎる

oversharing は「個人的な情報を必要以上に話してしまうこと」を指す比較的新しい表現だ。SNSの普及とともに広まり、TMI(Too Much Information)とほぼ同義として使われる。Sorry if I’m oversharing.(話しすぎてごめんなさい)やI didn’t mean to overshare.(つい話しすぎてしまいました)のように使われる。

初対面の人に個人的な悩みや秘密を話しすぎてしまう場面でよく登場する表現で、自己開示のバランスについての現代的な感覚を反映している。

『A Real Pain』では、マーシアがグループの自己紹介で離婚のことを話した後、Sorry if I’m oversharing, you’ll notice I tend to do that.(話しすぎてごめんなさい、私ってそういう傾向があるから)と自分で付け加える場面がある。ベンジーはマーシアのこのユーモアと自己開示を直感的に気に入り、二人はすぐに打ち解ける。映画全体を通じて「どれだけ自分をさらけ出せるか」というテーマが流れており、oversharing という言葉がそのテーマを軽やかに示している。

Open book

何でも話せる、隠しごとのない人

an open book は「隠しごとのない人」「何でも正直に話せる状態」を意味する慣用表現だ。She’s an open book; she tells everyone everything.(彼女は何でも話してくれる、オープンな人だ)のように使われる。反対に a closed book は「謎めいた人」「理解しがたい存在」を意味する。

I’m an open book – just ask me anything.(私は何でも話しますよ、何でも聞いてください)のように自己紹介でも使える表現だ。

『A Real Pain』では、ベンジーがエロジェのユニークな経歴(ルワンダのジェノサイドを生き延び、ユダヤ教に改宗した)に興奮してOh shit!と声を上げてしまい、その後ぎこちなく謝る場面の後、エロジェがBenji, I am an open book.(ベンジー、私は何でも話しますよ)と穏やかに答える。これに対してベンジーがRad.(最高だな)と返すシーンが印象的だ。open book という表現が持つ「透明性」と「温かさ」が、エロジェというキャラクターの本質をよく表している。

Rad

最高、かっこいい(スラング)

rad は radical の短縮形で、「最高」「すごい」「かっこいい」という意味のスラングだ。1980〜90年代にスケートボード文化やサーフィン文化の中で広まり、現在でも特定の世代やサブカルチャーで使われている。That’s totally rad!(それ超かっこいい!)やYour new bike is rad.(新しい自転車、最高だね)のように使われる。

cool や awesome とほぼ同義だが、rad には少しノスタルジックでカジュアルなトーンがある。ベンジーはこの言葉を自然に使いこなしており、彼のキャラクターの個性を演出している。

『A Real Pain』では、エロジェがI am an open book.と言った後にベンジーがRad.(最高だな)と一言返す場面がある。たった一語だが、ベンジーがエロジェに対して純粋な尊敬と親しみを感じていることが伝わる。また別の場面でもベンジーはrad を使っており、彼のボキャブラリーの一部として機能している。スラングの使い方が自然か不自然かで、キャラクターの「本物らしさ」が変わってくるという演出の妙も感じ取れる。

joinin up / enlist

(軍などに)入隊する、加わる

enlist は「軍に入隊する」「自発的に参加する」という意味の動詞だ。He enlisted in the army at 18.(彼は18歳で陸軍に入隊した)のように使われる。join up も同様の意味で、You gonna join up?(入るの?)のようにカジュアルに使われる。軍以外でもCan you enlist your friends to help?(友達に手伝ってもらえない?)のように「人を巻き込む・協力を求める」という意味でも使われる。

enlist someone’s help で「誰かの協力を求める」という意味になり、ビジネスや日常会話でも幅広く使える表現だ。

『A Real Pain』では、ワルシャワ蜂起記念碑の前でベンジーが銅像の兵士たちの間に入って写真を撮る場面で、エロジェに向かってEloge, you gonna enlist?(エロジェ、入隊するか?)と誘う。エロジェがI’m not a fighter, Benji, thank you.(私は戦士ではないよ)と答えると、ベンジーはOkay, well you can be a medic or something! Come on up! It’ll be funny! Your mom will love the pictures.(じゃあ衛生兵でもいいよ!面白いから!お母さんも写真を喜ぶよ!)と押す。記念碑という場所にもかかわらずユーモラスな空気を作り出すベンジーに、誰もが引き込まれていくシーンだ。

Sausage party

男ばかりの集まり(俗語)

sausage party は「男性しかいない集まりやパーティー」を指す俗語だ。ソーセージが男性器を指すスラングとして使われることから来ている表現で、インフォーマルかつ下品なニュアンスがある。同名のアニメ映画(2016年)もあるが、スラングとしては古くから存在する。This bar is a total sausage party.(このバーは男ばかりだな)のように使われる。

フォーマルな場面では使えない表現だが、友人同士の会話では比較的よく聞かれる。女性が一人もいないイベントや集まりを指して使われることが多い。

『A Real Pain』では、ワルシャワ蜂起記念碑の銅像の間でベンジーが写真を撮っている場面で、Jesus, this is a real fuckin’ sausage party. Marcia, come on up here!(これ完全に男ばかりじゃないか。マーシア、来いよ!)と叫ぶ場面がある。マーシアはI don’t know.(どうしようかな)と躊躇するが、Marcia Marcia Marcia! Your country needs you!(マーシア!お前の国が必要としてるぞ!)と押したことで、マーシアも記念碑に登り、No, I’m a fighter. Gimme a gun.(私は戦士よ。銃をくれ)と言って笑いをとる。ベンジーの言葉が人々を動かし、場の空気を変えていく様子が活き活きと描かれている。

Geriatric

老人向けの、高齢者の(やや失礼なニュアンス)

geriatric は医療用語としては「老年医学の」「高齢者の」という意味を持つ形容詞だが、口語では「老いぼれた」「時代遅れの」という軽蔑的・揶揄的なニュアンスで使われることもある。My geriatric computer keeps crashing.(うちの老いぼれパソコンはすぐフリーズする)のように物に使うこともある。

人に対して使う場合は失礼になりうるので注意が必要だが、自虐的に使うことは多い。That’s so geriatric of me – I forgot my phone again.(また携帯忘れた、老耄になったな)のように使われる。

『A Real Pain』では、ベンジーがグループの自己紹介の場面でDave swooped in, took some time off and arranged for us to join this geriatric Polish tour with you fine people.(デイヴィッドが仕事を休んで、あなたがた素晴らしい方々とこの老人向けポーランドツアーを手配してくれたんです)と言う。ツアー参加者はほぼ全員60代以上であり、その人たちの前でgeriatricという言葉を平然と使うベンジーに周囲は苦笑いを浮かべる。しかしベンジーの言い方はあくまで屈託なく、悪意のない無神経さがかえって笑いを生んでいる。

Funk

(気分の)どん底、スランプ状態

funk は音楽ジャンルのファンクを指す言葉でもあるが、日常会話では「憂鬱な状態」「やる気のないスランプ状態」という意味で使われる。in a funk で「気分が落ち込んでいる」「スランプに陥っている」という意味になる。I’ve been in a funk lately and can’t seem to get motivated.(最近ずっと気分が沈んでいて、やる気が出ない)のように使われる。

特に理由が明確ではない漠然とした落ち込みを指すことが多く、depression(うつ病)よりも軽いニュアンスだ。

『A Real Pain』では、ベンジーが自己紹介の中でAnd I’ve been in kind of a funk since she died.(祖母が亡くなってからずっとどん底な感じでいるんだ)と打ち明ける場面がある。マーシアがI’m so sorry, Benji.(ベンジー、本当に辛かったね)と共感すると、ベンジーはShe was my favorite person in the world.(彼女は世界で一番好きな人だった)と言い、珍しく感情を抑えきれなくなる。funk という表現が持つ「漠然とした沈み込み」が、ベンジーが抱える複雑な悲しみをうまく言い表している。

Downhill

悪化している、下り坂になっている

go downhill は「状況が悪化する」「下り坂になる」という意味の表現だ。Things have been going downhill since he left.(彼が去ってから物事がどんどん悪くなっている)やMy health started going downhill after the accident.(事故の後から体の調子が悪くなってきた)のように使われる。

downhill は比喩的に「楽になる」という意味で使われることもあり、Once you pass the halfway point, it’s all downhill from here.(半分を過ぎれば後は楽になるよ)という使い方もある。文脈によってポジティブにもネガティブにもなる表現だ。

『A Real Pain』では、ベンジーがAnd things have been kinda downhill for me.(最近いろいろと下り坂な感じでさ)と語る場面がある。この後、映画の後半になってベンジーが6ヶ月前に睡眠薬の過剰摂取を試みていたことがデイヴィッドの口から明かされる。downhill という控えめな言い方が、ベンジーが抱える深刻な苦しみをいかに軽く見せようとしているかを示しており、後から振り返ると非常に重い意味を持つ言葉であることがわかる。

Fucked up system

壊れた仕組み、おかしな制度(強い批判)

fucked up は「壊れた」「めちゃくちゃな」「おかしな」という意味の俗語表現だ。物事が根本的に間違っている、あるいは機能していないという強い批判を表す。This whole situation is fucked up.(この状況全体がおかしい)やThe system is totally fucked up.(制度が完全におかしくなっている)のように使われる。

非常に直接的な表現であり、フォーマルな場面では使えないが、怒りや批判を表現するカジュアルな文脈では広く使われる。

『A Real Pain』では、ベンジーがデイヴィッドのオンライン広告の仕事についてNo, that’s cool, that’s cool – you’re like making the world go round. It’s not your fault, you’re just part of a fucked up system.(いや、それはいいんだよ。世の中を回してるわけだし。お前のせいじゃない、ただおかしなシステムの一部なだけだよ)と言う場面がある。批判と慰めを同時に言ってのけるベンジーの独特の言い方が、周囲を笑わせながらも鋭い社会批評になっている。デイヴィッドはWell without online ads, a lot of the sites you’re using for free wouldn’t be able to exist.(でも広告がなければ、お前が無料で使っているサイトの多くは存在できないんだぞ)と反論するが、ベンジーの一言に完全に論破されている。

na zdrowie

(ポーランド語)乾杯!

na zdrowie(ナ・ズドロビエ)はポーランド語で「乾杯!」「健康に!」という意味の表現だ。英語のcheers! やフランス語のsanté! に相当する。ポーランド語では「健康(zdrowie)のために(na)」という意味を持つ。ガイドのジェームズが発音を教え、with characteristic consonant blending(特有の子音の連結があります)と解説する場面がある。

外国語の乾杯の表現を知っておくと、その国を訪れたときに喜ばれることが多い。こうした文化的表現を映画から学ぶのも英語学習の楽しみの一つだ。

『A Real Pain』では、マーシアがジェームズにJames, what’s the Polish word for toasting?(ジェームズ、ポーランド語で乾杯って何て言うの?)と聞き、ジェームズがAh, yes, na zdrowie. With characteristic consonant blending.(ああ、「ナ・ズドロビエ」です。独特の子音の連結がありますが)と答える場面がある。グループ全員で亡き祖母ドリーに乾杯するこの場面は、映画の中でも最も温かく感情的な瞬間の一つだ。ベンジーだけがグラスのビールを全部一気飲みするという行動で笑いを生みつつも、彼の悲しみの深さも同時に伝わってくる。

mishigas

(イディッシュ語)ごたごた、混乱、狂気じみた行動

mishigas(またはmishegoss)はイディッシュ語由来の表現で、「ばかげた行動」「狂気じみた様子」「ごたごた」という意味だ。アメリカのユダヤ系コミュニティでよく使われ、英語にも取り込まれている。What is all this mishigas?(このごたごたは何だ?)やStop with the mishigas and calm down.(ばかなことを言うのをやめて落ち着きなさい)のように使われる。

chutzpah(ずうずうしさ)やschlep(重い荷物を持って移動する)などと同様、イディッシュ語由来のスラングはアメリカ英語に深く根付いており、特にユーモラスな文脈でよく登場する。

『A Real Pain』では、ベンジーがレストランを退席した後、グループがベンジーについて話し合う場面でマーシアがAnd god, he’s charming and funny underneath all the… mishigas.(本当に、あのごたごたした部分の下には、チャーミングで面白い人がいるのよ)と言う。mishigas という言葉がベンジーの複雑な行動パターンを一語で表現しており、ユダヤ系文化的な語彙がこの映画の世界観に溶け込んでいることがわかる。マーシアが同じユダヤ系の文化的背景からこの言葉を自然に使うのも印象的だ。

Trigger

(精神的な)引き金、トラウマを刺激するもの

trigger は本来「引き金」という意味の名詞・動詞だが、心理学・日常会話では「過去のトラウマや強い感情反応を引き起こすきっかけ」という意味で広く使われる。That movie was a real trigger for me.(あの映画は私にとって本当につらいものだった)やCertain smells can trigger memories of the past.(特定の匂いが過去の記憶を引き起こすことがある)のように使われる。

SNSやメディアではtrigger warning(トリガー警告)という形でも使われ、「以下のコンテンツはトラウマを持つ方に影響を与える可能性があります」という注意書きとして定着している。

『A Real Pain』では、列車の中でベンジーが問題発言をした後、ジェームズがI’m sorry if that was uncomfortable for anyone. These triggers certainly do arise anywhere. Usually not on a moving train, but…(皆さんに不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。こういったきっかけはどこでも起きます。動いている列車の中で起きることは通常ないですが)と場を収めようとする場面がある。ジェームズの真摯な対応と、「列車の中で」というさりげないユーモアが共存した台詞だ。

I’m gonna be fine

大丈夫になるよ、なんとかなるよ

I’m gonna be fine. は「大丈夫になるよ」「なんとかなる」という意味の表現で、現在は辛い状況でも将来的に回復するという見通しを示す。I know things are rough right now, but I’m gonna be fine.(今は大変だけど、きっと大丈夫になるよ)のように使われる。

gonna は going to の口語的な短縮形で、アメリカ英語の日常会話ではほぼ標準的に使われる。これに対してI’ll be fine. は「今この瞬間大丈夫」というニュアンスが強く、I’m gonna be fine. には「これからきっと大丈夫になる」という前向きな意思が含まれる。

『A Real Pain』のラスト、空港でデイヴィッドとベンジーが別れる場面で、ベンジーはデイヴィッドを抱きしめながらI’m gonna be fine, man. Okay?(俺は大丈夫になるよ。わかってる?)と囁く。デイヴィッドがYou sure?(本当に?)と問い返すと、ベンジーは黙って頷く。この一言が映画全体の感情的な帰着点となっており、自殺未遂を経験したベンジーが初めて自分の回復を口にする重要な瞬間だ。シンプルな表現だからこそ、その言葉の重みが際立つ。

ゆぶろぐ

こんにちは、ゆぶろぐです。
映画の英語は、学習教材と違って、学習者向けに手加減された英語ではありません。生の英語が飛び交っています。一見、難しいように聞こえますが、次第にストーリーの展開に心を奪われながら、英語とストーリーの両方の魔力に引きつけられていくのです。▶映画は、普段日常生活では接することのない、様々な場面に誘ってくれます。その中で交わされている英語には、学校で学ぶ英語と少しばかり違った、口語表現やスラングがあふれています。▶このサイトでは、その独特の口語表現やスラングを主に映画から探してきて、紹介しています。中には、危険なフレーズや下品な言い回しもあえて取り上げてみました。それらは、実際に使うとアブナイものも含まれていますから、それは「知っていく」程度にとどめておいてください。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。専門は英語教授法。英語学習や英語教育に関する論文、著書、記事多数。

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